健康の館 YAMAX web SHOP

チャーガ茶、チャガ茶 白樺に寄生する幻のキノコ チャーガを使ったお茶! TV・新聞で話題の健康茶!!

赤ちゃんの泣き声分析器 ホワイクライ(Why Cry)本体動画
赤ちゃんの泣き声分析器 ホワイクライ(Why Cry)説明
全国送料無料
TOPチャーガ茶健康コラム
■健康コラム

このコーナーは、少し息抜きも兼ねて、健康に関する色々な記事を集めてみました。

是非、良かったら立ち寄って道草していって下さいな。

何かご意見や感想などがあれば何なりとご連絡をお願いします


     算数が得意な子の脳は、どこが違うのか?
「受動喫煙=悪」の拡散は慰安婦問題の嘘と同じ構図との指摘
病気にならないほうがおかしい、当世食生活事情
肉食文化 と食料危機
毎日2合のアルコールは、病気を防ぐ
日本人のお風呂と温泉(中国の教科書での日本人の風呂好きの紹介)
コーヒーの発見
毎日の緑茶やコーヒー、脳卒中予防に効果
腰痛緩和にオステオパシー療法は超音波より有効
ヨーグルトの秘めた実力
「花粉症の人は恋人ができる確率が高まる」そのメカニズムを解明
睡眠は心身のメンテナンス
食物アレルギー 原因特定し除去を 成長とともに耐性化も
「学習は脳にダメージを与える」マウス実験で発見
夢の内容解読に成功 睡眠中の脳活動から 京都の研究所
エンジン音は官能の調べ? マセラティ 脳活性化 ストラディバリと共通点
花粉症、欧米でも増加 温暖化で開花期間延び
花粉症 (健やかあおもり 長寿のコツより)
体の仕組みを知る/自然治癒力こそ基本 (健やかあおもり 長寿のコツより) 
知ってますか?肝臓の気持ち
「喫煙者は雇用しない」の是非は? 米論評
化学物質ビスフェノールAが小児ぜんそくの引き金に―米研究
乳製品多く食べる人で子宮内膜症リスク低下―米研究
黄砂、花粉、PM2・5「三重苦」 対策は?
痛み 私の物語「絶食療法」ストレス解消 …作家・夏樹静子さん
健康への指標 肥満を防ぐ=1 …作曲家・小林亜星さん
「睡眠に問題を抱えている」日本人は約7割!?
花粉の季節、睡眠不足が『負のスパイラル』状態をを招く?
まさか!寿司1人前はハンバーガー+フライドポテトよりも高カロリー?―英国
ネコ肉、犬肉に比べれば大したことない! 欧州の馬肉騒動へのコメント―中国メディア
<体のフシギ>チーズは糖尿病リスクを減らす―米誌
ホワイトハウス犬「ボー」が中国産ペットフードに「ノー」、米国で規制の声高まる―米紙
<食の安全>国際基準採用はわずか2割、事件起こすのは業界大手ばかり―中国
<一人っ子政策>中国女性は双子を産むために薬を飲んでいる―米メディア
楊貴妃や孫悟空も食べた不思議な桃の話
余談(中国編)
  


 ■ 算数が得意な子の脳は、どこが違うのか?
プレジデントファミリー 2月16日(土)9時0分配信

問題を解くのに必要な「回路」ができあがれば、あとはそれを何度も使うことで、スムーズに解答にたどり着けるようになる。
スラスラと問題が解ける子の脳の中は、いつまでたっても答えが出ない子とどう違うのか。「解ける子の脳」になるための秘訣を、脳のスペシャリストに聞いた。

------------------------------------------------------------------------------------------------

■問題を解くとき、脳の複数の箇所が稼働

 世の中には、幼くして方程式が解けたり、微分積分を理解できたりするスーパーキッズがいるという。一方で「数字を見るだけで頭が痛くなる」というような算数嫌いの子も存在する。算数ができる子とできない子は何が違うのだろう。そもそも生まれつき脳に差があるのだろうか。MRIによる脳画像分析のスペシャリストで「脳の学校」代表の加藤俊徳氏に、その違いを聞いてみた。

「算数ができるかできないかは、生まれつきの能力の差ではありません。訓練すれば誰でもできるようになるのです」と言う加藤氏。「うちの子は算数ができない」と嘆いている親にとっては朗報だが、ではいったいどこで差がつくのだろうか。
「ポイントは、脳の中に問題を解く回路ができているか、そしてそれが太いかどうかです」
 加藤氏はまず、算数や数学の問題を解く際に脳の中でどんなことが起こっているかを説明してくれた。


 そこで加藤 「算数の問題を解く際には、脳の複数の箇所を使います。脳には大きく分けて、前頭葉、後頭葉、頭頂葉、側頭葉がありますが、それぞれ、運動、視覚、聴覚、記憶など人間が生きていくうえでのさまざまな活動をつかさどっています。脳の中にも、いわゆる『役割』というものがあるのですが、現在の研究では、算数や数学のいろいろな問題を解くときに、脳のどの箇所を使っている、と特定はされていません」
 たとえば国語が得意なら、言語や感情をつかさどる部分、美術が得意なら視覚をつかさどる部分を主に使う、というようにある程度特定できるが、算数や数学の場合は、そうではないらしい。
「脳の損傷研究でわかっているのは、脳のどこが壊れても、ちょっとずつ算数や数学の能力が下がるということ。つまり、算数や数学の問題を解く際には、脳の複数の部分を同時に働かせていると考えられます」

氏は、二つの脳の図を描いて説明してくれた。
「Aが、悩んでいるとき、Bが楽に解けるときの脳のイメージです。初めて問題が出されたとき、脳の中ではああでもない、こうでもないと思考がさまざまな箇所を巡って答えを導き出そうとします。これがAの脳」
 問題を解くためにはどの部分を使えばいいかまだ絞り切れていない状態です。
「一方で、楽に解けるときの脳では、脳のどの箇所をどの順番で使えばいいかが特定されています。そのルートが出来上がっているので、Bの図のようにスムーズに思考回路がつながって、解答が出せるのです」
 なるほど。これが先ほどの「問題を解く回路」というわけだ。
問題を解くのに必要な「回路」ができあがれば、あとはそれを何度も使うことで、スムーズに解答にたどり着けるようになる。

■何度も解くと簡単に解ける理由

「解けない問題が解けたとき、カチッと何かがはまったような感じがして、すっきりした経験があるでしょう。これが、回路がつながった瞬間なのです」
 一度解いた問題をもう一度解いたときに簡単に感じられたり、前より短時間で解けたりするのは、この回路が出来上がっているからなのだ。Bの脳では、脳に負担がかかっていないクールな状態。脳は無駄なエネルギーを使わなくて済むのである。一方で、Aでは脳の中で思考の試行錯誤が行われているので、かなりの興奮状態だ。
「問題が解けなくてどうしていいかわからない、頭の中がふわ〜っとなるような感じが、まさしくAの状態なのです」

 この回路を専門的に説明すると、神経細胞同士がネットワークを形成していくということ。約千億個以上の神経細胞がある脳は、細胞同士が集まって思考の中枢となっている神経細胞と、その神経をつなぐ連絡線維の二つで構成されている。脳が適切な刺激を与えられてさまざまな情報を吸収していくと、それまで未発達だった神経細胞と連絡線維は、樹木の枝が伸びるように他の細胞とつながっていく。使われることで回路は太くなり、より楽に問題を解けるようになる。

「必要な脳の箇所同士が連携して回路が太くなると、問題を解く際に二つのいいことが起こります」
 と加藤氏。ひとつは、「応用が利く」ことだという。
「ある問題を解く回路が確立できれば、それに類似した問題が出された際に、おおよそどこの箇所を使えばいいかが推測できます。基本の回路ができているので、そこからちょっとはずれるだけでいい。新しい問題に出合って、まったく知らない問題を解くときに試行錯誤するのとはわけが違います」


■パッと問題が解けるのは集中している証拠

 もうひとつが「集中力の向上」だ。
「回路がつながっていない頃や、つながりたての頃は、回路をつなぐパイプが細い状態。短時間で情報を運ぶことができないため、なかなか解答にたどり着けず、問題を解こうとする気持ちが散漫になりやすい。しかし回路を繰り返し使うことでパイプが太くなると、一気に多くの情報処理が可能になり、集中して問題を解くことができます」

 それではわが子もこの回路を強化していけば、スーパーキッズのようになれるのか。
 しかし、「この回路を強化するのが難しい」と加藤氏。それは、脳のある性質が関係している。
「脳は、ある回路を通って心地よいと感じたら、もう一度同じ回路を通ろうとします。でも、嫌だと思ったら二度と同じ道を通りたがらないんです」

 問題が解けるというような成功体験は脳にとって気持ちよいものであり、もう一度同じ道を通ろうとする。しかし、同じ「解ける」でも、その子のレベルに合っていないものを無理にやらせたり、お母さんから「この問題を解けるまで遊びに行っちゃダメよ!」なんて言われながら嫌々解いた場合には、たとえ解くことができても、脳にとっては苦い印象を与えてしまうのだ。
「誰かとご飯を食べて楽しかったら、また一緒に食べたいと思うでしょう。それと同じ法則が脳の回路にも当てはまるのです」

 脳の回路を強化するには、何度も同じルートを通ることが必要。そのルートを何度も通らせることができるかどうかが、優秀な子とそうでない子の分かれ目だというわけだ。子供が「楽しい」と思うような環境づくりをすることが、解ける回路をつくる第一歩かもしれない。
 算数や数学ができるようになる脳の仕組みがわかったところで、「回路をつくったり、強化する際にやってほしいことがある」と加藤氏。


■頭の中だけで考えても答えが出ないなら……

「それは、手を使うことです」
 答えがわからないときは、脳のどこを使えばいいか迷っている状態。その際に、頭の中だけで考えるより、指を折って数えたり、図に描いたり、式に起こしたりすることが大事だという。
「解けないときには、思考が脳の同じ箇所だけをグルグルと回っていることもあります。そのときに手を動かせば、思考を違う箇所に動かすことができるのです」
 算数ができる子は、わかっていることをすべて書き込んだり、文章を図示化したりする。これは、脳にも刺激を与えているというわけだ。


■答えがどこで間違ったかを把握させよう

 最後に、算数で育まれる力について一言。
「人間は生まれると『周りの人はこうしている』とまず他人を認識し、その後だんだん『自分はどうなのか』と、自分を確かめるようになります。算数で一番育まれるのは、前頭葉で発達するこの自己認識能力だと思います」
 算数には必ず答えがある。問題を間違えた場合、自分がどこで誤ったかというプロセスを計算式の中で確認できる。それを認められる子は、どんどん成長していける。
「答えが間違ったという事実だけを意識する子は、それ以上先へ進めません」
 算数で間違いを把握する作業は、自己認識能力につながるものなのだ。
「親は、子供が算数の問題で間違えた際に、どこでどんな間違いをしたかを子供自身が把握しているかにも気を付けたいところです。問題が解ける、解けないで一喜一憂することよりも、この問題を通して、子供の自己認識能力が成長しているんだ、と考えてみてはいかがでしょうか」
------------------------------------------------------------------------------------------------
加藤俊徳●Toshinori Kato
医師、医学博士。「脳の学校」代表。国立精神・神経センター、ミネソタ大学放射線科などを経て現職。これまで、1万人以上の脳画像を分析してきた。著書に『脳の強化書』(あさ出版)など。

鈴木 工=文
算数・数学が得意な子、苦手な子
算数・数学が得意な子と苦手な子はどこが違う? 『この1冊で一気におさらい! 小中学校9年分の算数・数学がわかる本』の著者で進学塾を経営する小杉拓也さんが、我が子を算数・数学好きにするための2つのポイントを紹介します。

算数・数学の得意な子の特徴
 普段、多くの子どもに算数や数学を教えていると、算数や数学が得意な子と苦手な子に、それぞれ共通の特徴があることに気づきます。
 算数・数学が得意な子に共通しているのは、「いい意味であきらめが悪い」ということです。
 いい意味であきらめが悪い、というのは、1つの問題を解けるまで、時間がかかってもあらゆる方法でなんとか解こうとする姿勢のことです。
 算数・数学が得意な子は、問題が解けないことに対しての悔しさが強い傾向にあります。
「何としてでも解いてやる!」という熱意のある子が、算数・数学を得意にする素質を持っていると言うこともできるでしょう。
 私が授業中に生徒に問題を解いてもらっているとき、生徒を見ていると明らかに苦戦しているときがあります。
たとえば、まったく鉛筆が動いてなかったり、苦悩の表情を浮かべていたりするときです。
授業時間には限りがあり、ずっと同じ問題を考えさせるわけにもいかないので、そのような時は私から「ヒントいる?」、もしくは「そろそろ解説しようか?」などと声をかけるのですが、得意な生徒の場合は「ヒントはまだいらないです。先生、もうちょっと考えさせてください」というような答えが返ってくるのです。
 生徒のこの発言は、「人の助けを借りずになんとか自分1人で解きたい」という気持ちの表れであり、そのように生徒が言った場合は、私は生徒の意志をできるだけ尊重します。
 生徒が「先生、もうちょっと考えさせてください」と言っているのに、「いや、他の問題も解かないといけないから、そろそろ解説するよ」なんて言うと、たいていの場合、生徒はがっかりした表情をうかべ、生徒のモチベーションを下げてしまうことにつながります。
 生徒にとって良い先生というのは、「生徒にできるだけ考える機会を与え、どうしてもわからないときだけ、ヒントを言ったり、わかりやすく解説したりする先生」なのです。
 生徒がこれ以上考えても解けそうにないという状況になったときに、それを打開するために1つだけヒントをあげたり、ヒントをあげても難しそうなときは解説したり、と臨機応変に対処することが必要です。
苦労して解くことの意味
 少し話がそれましたが、算数・数学が得意な子というのは、1つの問題が解けるまでなかなかあきらめようとしません。
「先生、今日はこの問題、解説しないで。家に帰って1日考えてみるから」と言う生徒さえいます。
 そのような生徒はなぜ、そこまでして自力で解こうとするのでしょうか。
それは、苦しんで解けたときの喜びを知っているからです。
 算数・数学の問題を解けたときというのはうれしいものですが、そのうれしさにも程度の違いがあり、解くのに苦労すればするほど、解けたときの喜びは大きくなるのです。
苦労してやっと解けたときの喜びを知っている生徒は、簡単にあきらめようとはしません。
 また、自分で苦労して解いた問題の解き方は、自分の実力として深く定着します。
 先生から解説を受けて理解するのと、自分で解いて理解するのでは、自分で解いて理解するほうが定着度は深いのです。
そのため、できるだけ自分で解こうとする生徒は、算数・数学がどんどん得意になっていきます。
 苦労して解く喜びを知っており、その喜びを経験することが好きなので、好きこそ物の上手なれ、で算数・数学が得意になっていくのです。

お父さん、お母さんが教えたい「解く喜び」
 一方、算数・数学が得意ではない子は、相対的にあきらめるのが早いようです。
 1つの問題を1つの方法で解けなかったらもうあきらめて考えるのを拒否してしまう生徒がいます。
「もっと考えてみようよ。他の方法で解けるかもしれないよ」とこちらが声をかけても、一向に考えるそぶりを見せないのです。
 そのような生徒は、算数・数学が嫌いで、算数・数学=つまらないもの、と心の中で決めつけているため、できるだけ考えたくないというのがあります。
 また、そのような子は、苦労して解く喜びを知らないので、あきらめが早いのだ、と言うこともできます。
苦労して解く喜びを知っていれば、すぐにあきらめずになんとか1人で解こうとするものです。
 私はそのような生徒に対して、なんとか苦労して解く喜びを教えてあげたい、その喜びを教えてあげよう、という姿勢で指導します。
 問題を解くのをあきらめた様子なら、すぐに解説するのではなく、最小限のヒントだけ出すようにしたり、簡単な問題を出して自力で解く経験をできるだけ増やしたりなどです。
 一度、苦労して解く喜びに気づいてくれれば、算数・数学が好きになり、得意になっていくきっかけになります。
 お子さんの勉強をみているお父さん、お母さんは、目の前の問題が解けるか解けないかに一喜一憂するだけでなく、苦労して解く喜びを教えることに意識を変えてみると、よい結果が生まれるのではないかと思います。

納得するまで食い下がる子が伸びる!
「自分が本当に納得するまで理解しようとする」という点も、算数・数学が得意な子に共通しています。
 私が、算数・数学の問題を解説するとき、得意な子は解説でわからないところや納得できないところがあればすぐに、「先生、それってどういうことですか。もう一度教えてください」「先生、この式の意味は何ですか」などと聞いてくれます。
 そのように聞いてくれたら、もちろんもう一度解説するわけですが、再度解説する場合は、1回目とは違ったアプローチで解説するなどして、できるだけ生徒が理解できるように私も工夫します。
 言い換えれば、そのような生徒は「本当に理解するまで妥協しない」姿勢を持っていると言うこともできるでしょう。または、理解することの本当の意味を知っていると言うこともできます。
 算数・数学は、基礎的な内容を完全に理解しながら、積み上げていくことで、応用的な問題も解けるようになるものです。
ですから、こうした妥協しない姿勢は、算数・数学を得意にするために欠かせない要件なのです。
 一方、算数・数学が得意でない生徒は、本当に理解できていないのに妥協してしまうことがあります。
先生の解説などを聞くと「わかった気になってしまう」というのがその典型です。
先生の解説を聞き、先生の書いた板書をノートに取っただけで、「なんとなく理解した」と勘違いしてしまう生徒は意外に多くいます。
 そのような生徒には「本当に理解する」とはどういうことか、気づいてもらえるような指導をします。
「本当はわかっていないんだよ」ということを、身をもって気づいてもらうようにするのです。
 具体的には、解説した問題の類題を解いてもらいます。
その類題も、途中式を暗記するだけで解けるようなものではなく、解説した問題の解き方の根本的な意味がわかっていないと解けないような問題をあえて選びます。
 このような問題を解いてもらうと、生徒はたいていの場合、「あれ、わかってたはずなんだけどなぁ」と口にして、苦戦します。
そんなとき、私は、「わかってたつもりになってたと思うけど、本当の意味ではわかっていなかったっていうことなんだよ」と言って、本当に理解してもらえるように解説をします。
 このような指導を繰り返し行うと、生徒は、本当に理解するということがどんなことが徐々にわかるようになります。
 算数・数学が得意な生徒に共通している点として、「いい意味であきらめが悪い」、「自分が本当に納得するまで理解しようとする」という2点を挙げました。お子さんの勉強を見てあげるときは、この2点に注意して、粘り強く指導してあげることが大切です。
「勉強しなさい」と上から言うだけでは子どものモチベーションは上がりません。子どもと同じ目線に立って、算数・数学が好きになり得意になるように、一人一人のペースを大切にしながら導くようにしましょう。

落ちこぼれの私が、数学を得意になったわけ
算数・数学で苦しむ我が子を算数・数学好きに変えるにはどうしたらいいか。数字に弱いビジネス・パーソンが数字に強くなる方法とは? 『この1冊で一気におさらい! 小中学校9年分の算数・数学がわかる本』の著者・小杉拓也さんの新連載「算数・数学を得意にする方法」では、そんな悩みを解決するヒントを紹介します。

算数と数学ができることのメリット
 これから5回にわたって、苦手な算数・数学を得意にする方法を連載します。初回は、数学が苦手だった私がいかにそれを克服して得意にしたかについてお話ししていきます。
 ところで、算数と数学が得意になると、どんなメリットがあると思いますか。私は次のようなメリットがあると考えています。
(1)「数字に強い人」になり、社会人ならばビジネスの現場で役に立つ
(2)論理力が鍛えられる
 算数と数学が得意になると、まず(1)のように「数字に強い人」になれる、というメリットがあります。
 数字に強い人は、ビジネスの現場や日常生活において、重宝がられる傾向にあります。
たとえば、ある会社で部長が次のように言ったとしましょう。
「わが社の15の店舗に、1店舗あたり14台ずつパソコンを増設しようと考えている」
 そのとき、Aさんが瞬時にこう発言しました。
「部長、ということは計210台のパソコンを増設するということですね」
 Aさんのこの即答を受けて部長は、「なんて暗算が速いんだ。Aさんは数字に強いんだな」と感心します。「仕事のデキる奴」という印象すら持たれるかもしれません。

小学校の算数でも高評価!?
 でも、このAさん、ただ、かけ算の暗算をしただけです。微分・積分などややこしい計算をしたわけではありません。
 実際、「数字に強い」というのは、暗算ができたり、「〜%」「〜割」などの割合の計算に強かったりと、それほど高等な数学ではなく、小学校の算数で習うことにいかに習熟しているか、で判断される場合が多いのです。
 たとえば、飲み会のときに会計が17,355円で、5人で割ると1人何円かという計算で、1ケタまで瞬時に暗算できる人がいたら「あの人は数字に強いな」という印象を持たれるでしょう。
割り勘の計算は高等な数学ではなく、小学校で習う割り算なのに……。

数学で論理トレーニング!
 次に、もう一つのメリットである、「論理力が鍛えられる」についても見ていきましょう。
 算数と数学の問題を解くとき、「式Aだから式B、式Bだから式C」と論理的に段階を踏んで答えを求めます。
あらゆる問題を解く際に、論理力が必要なわけですが、特に論理力を一番鍛えることができるのは数学の証明問題です。
 仮定をもとに結論までの道のりを筋道立てて説明するのが証明問題です。証明問題では、論理的にきちんとつながっていないと正答とは認められません。
 学校教育においては、中学2年生で習う数学に「文字式の利用」「三角形の合同を証明する問題」という単元があり、そこで初めて本格的に証明問題を習います。
それまで論理に関するトレーニングをしてこなかった中学2年生はこれらの単元で苦戦することが多いのです。
 論理的な思考ができるようになると、それをもとに、説得力のある発言ができたり、説得力のある文章を書いたりすることが可能になります。そのため、現代に生きる社会人にとって、論理力はなくてはならないスキルのひとつであると言えるでしょう。

落ちこぼれの私が、数学を得意になったわけ
 このように、算数・数学が得意だとメリットを得られるわけですが、かくいう私も、中学生から高校3年生の夏ぐらいまで、数学をかなり苦手にしていました。
 中学1年生で習う方程式や、比例・反比例あたりまでは、なんとかついていけたのですが、中学2年生で1次関数や、図形のさまざまな証明問題などを習ううちに、わからないところが多くなり、気づけば、主要科目のなかで、一番の苦手科目になっていたのです。
 私がどれだけ数学が苦手だったかを象徴するようなエピソードがありますので、恥ずかしながらお話しいたします。
 私は関西の私立中高一貫校に通っていました。そのため、中学校から高校には原則的にはエスカレーター式で進学することができたのです。
私の母校は高校からの編入のある学校だったので、形式的に高校の入試問題を解いて、どのくらいの点数が取れるかという試みが中学3年生の終わりごろに生徒全員を対象に行われました。
私は実力テストにはあまり自信がなかったのですが、それほどひどい点数にはならないだろうというような軽い気持ちでその試験を受けました。
 その試験が終わった数日後、私は担任の先生に、
「放課後に教室で待っているから来るように」
と厳しい口調で言われました。何だろうと不安になりながら教室に行くと、がらんとした教室の真ん中に、先生が1人座って待っていました。
嫌な空気に緊張しながら先生の対面の椅子に座りました。すると先生は1枚の紙切れを机に差し出しました。その紙切れには
「163」という数字が書かれていました。
 先生:「この数字何かわかるか」
 私:「わかりません」
 先生:「この前の高校入学試験の順位や」
 学年の人数は165人。つまり下から数えて3番という非常に悪い成績をその高校入学試験でとってしまったのです。
 後にテストの成績表を見ると、数学が特に悪い点数で、そんな順位になってしまったことがわかりました。その後なんとか(学校側の温情で?)学校に残ることができましたが、数学は高校に進学してからもずっと苦手なままでした。

志望校は東大!
 高校2年生になった私は、何を思ったか無謀にも、東京大学を目指すことに決めました。当時の私の成績からすると無謀としか言えない挑戦でしたが、周囲からは「そのうち、あきらめるだろう」と思われていたらしく、特に反対もされませんでした。
 今考えても無謀な挑戦でしたが、当時の私はそれなりに真剣で、高校2年生の冬ごろから本格的に受験勉強を始めました。
 文系の私立大学を受験する場合は、英語、国語、社会(日本史、地理など)の3科目で受験できる学校が多いのですが、東大の文系では、センター試験と2次試験の両方に数学が課されるので、合格するためには苦手な数学をなんとか克服しなければいけません。
 そこで、私は評判の良い分厚めの数学の問題集を買ってきて、それを毎日コツコツ解きました。それは、現在でも評判が良く(実際に質の高い問題集だと思います)、「これを1冊マスターすれば文系のどの大学にも入ることができる」と言われた問題集でした。
 「これを1冊全部解けば数学が得意になるはずだ」
 こう信じて私は毎日少しずつ解き進めました。なんとか解き進めて、ようやく問題集の3分の2が終わるぐらいまで辿り着いたのですが、一向に数学の成績は上がりませんでした。
「そんなはずはない。いまに数学の成績は上がるはず」
 そう思いながらも1冊なんとか解き終えることができたのですが、数学の成績は全く上がりませんでした。上がらないどころか、以前より悪い点数を取ってしまうことさえありました。
「おかしい。こんなに努力して必死の思いで全問解いたのにどうして数学の成績が上がらないんだ?」
 やりきれない気持ちを抱えながらも、現実に数学の成績が上がらないことに対して、このままではいけないと思い、別の対策を模索せざるをえない状況に追い込まれました。
 別の対策を模索するといっても、自分ひとりで新しい方法を思いつくことができるはずもなく、友達に相談しても良いと思う方法にめぐり合えず、私は数々の大学受験の指南書や勉強法について書かれた本を読みました。
 何冊か読んでいて、私の琴線にふれたのは
 「自分にとって難しすぎる問題集をやっても意味がない。基本に返らなければいけない」
 という言葉でした。
「もしかすると、自分にとって難しすぎる問題集に手を出していたのかもしれない」
 そう思った私は、基本に立ち返るため、高校の数学の教科書を使って、基本から学習することにしました。

誰にもできる勉強法
 いざ、教科書を使って勉強を始めてみると、教科書には、市販の参考書や問題集には載っていない基本的な事項についての、とても詳しくわかりやすい解説が載っており、「ああ、そういうことだったのか」と納得しながら学習を進めることができました。
 教科書で学習するようになってから、少しずつ数学の成績も伸びてきました。
模擬試験で出題される数学の応用問題は、基本的な解法を組み合わせれば解ける問題が多いことに気づいたのです。
 数学の勉強を木に例えると、私が分厚い問題集で学習していたときは、まだ幹がしっかりしていないのに枝葉にあたる高度な内容を勉強しようとしていたためうまくいかず、成績も伸びなかったと考えられます。
しかし、教科書によって幹の部分の勉強をすると、数学の基礎がしっかり根付き、枝葉もぐんぐん伸びていったのです。

 ■「受動喫煙=悪」の拡散は慰安婦問題の嘘と同じ構図との指摘
 厚生労働省は、今国会で「労働安全衛生法改正案」の成立を目指している。これは職場の受動喫煙防止を目的に全面禁煙または空間分煙を迫るものだ(現在修正案を検討中)。

 これによって「分煙」はこれまでのマナーの領域から義務へと大きく変わる恐れがある。本格的に「規制・撲滅」に動き始めた国の動きをどう見るか。現代史家・秦郁彦氏が、「たばこと健康被害」の観点から論じる。

 * * *

 そもそも「非喫煙者でも副流煙によって被害を受ける」という論理を盾に受動喫煙というリスクを広めたのはWHO(世界保健機関)である。

 実は、世界で初めて受動喫煙という概念を打ち出したのは日本人である。故・平山雄が提唱した「平山論文」がその端緒であり、その後の一連のたばこ規制の理論的支柱となってきた。

 平山は満州医科大学を卒業後、旧厚生省国立公衆衛生院技官やWHO勤務を経て、1965年から国立がんセンター研究所疫学部長を務めた。そこで保健所のネットワークを利用して26万人余を対象とする「人とがん」に関する大規模な追跡調査を実施。その結果、「喫煙者の夫と非喫煙者の妻の組み合わせで妻の肺がん死が少なくないのは、副流煙の吸入による受動喫煙に起因する」といった着想を得た。

 そして1981年、なぜか日本ではなく、イギリスの医学情報誌『British Medical Journal(BMJ)』で論文を発表。わずか3ページの学術論文とは言い難い投稿文だったが、反響は大きかった。

 簡単に要点を記しておくと、9万人余いる非喫煙者妻のうち肺がん死した人数は、夫が非喫煙者の場合は32人、喫煙者の場合は142人。人口比で見ると、前者は0.15%、後者は0.20%と僅差に映るが、平山式の計算では相対リスクは1.61倍(夫が1日20本以上吸う場合は2.08倍)の有意差を示すという。

 だが、BMJにはその年だけで平山論文に対するコメントが12本掲載されているが、ほとんどは疑問か異議の部類だった。その後も批判が相次ぎ、ついには1984年、7人の専門家がウイーンに集まり、「受動喫煙に関する国際円卓会議」まで開催された。

 その議事録を通読すると、孤軍奮闘する平山を吊るし上げる会かと思えなくもない。平山はその経歴からも明らかなように、医学博士とはいえ臨床経験がないこともあってしどろもどろな対応に終始するなか、平山のデータと結論が正しいとしても有意差は認められないと判定される。

 最後に座長が「平山理論は科学的証拠に欠ける仮説にとどまる」と締めくくると、平山は「たばこを廃絶したら、こんな論争は不要になる……私は政府とWHOへ働きかけたい」と開き直るしかなかった。

 ところが、その予告通り、平山は医学的なアプローチをなかば諦めたかのように、政治工作と嫌煙運動へとのめり込んでいく。

 これに米国の公衆衛生局と反たばこキャンペーンに乗り出していたWHOが飛びつき、「受動喫煙=悪」という図式は再び息を吹き返していった。

 その波に乗って平山理論は日本に逆輸入され、国内の嫌煙家たちの間で持て囃されることになる。

 平山自身、『禁煙ジャーナル』誌を主宰する運動家として全国を飛び回り、「日本専売公社(現JT)はたばこ病専売公社と改名せよ」とか「受動喫煙を“緩慢なる他殺”と呼びたい」などと過激度を増していく。

 ついには、勢い余って「肺がんばかりではない。ほとんどのがんはたばこが原因」と叫びながら、1995年にがんで亡くなったとされる。

 以上、見てきたように、受動喫煙説の口火を切った平山理論は、専門家が集う国際会議の場で「科学的根拠に欠ける仮説」と結論付けられたものにすぎない。その真偽も満足に検証されないまま、「疑わしきは罰す」というたばこ制圧が大手を振っているのだ。

 私はかつて、「韓国で慰安婦狩りをやった」などと証言した元軍人・吉田清治のウソを現地調査で暴いたが、自らの主張を通すためにいい加減な情報を政治的に利用して世論を動かしたという点で、平山と吉田は同じ役割を果たしたと言えるだろう。

※SAPIO2012年6月27日号


たばこ副流煙で肺がんになる人「4万人に1人」と武田邦彦氏

2013.02.22 07:00

「職場でも公共の場でもきちんと分煙マナーを守っていたのに、次々と全面禁煙になる。喫煙場所を求めてさまようストレスはピークに達していますよ!」

 今ではすっかり少数派となった愛煙家の叫びは、たばこが諸悪の根源だと信じて疑わない多数派の嫌煙家たちには遠く届かない。

たばこを吸わなくても喫煙者の吐き出す煙(副流煙)によって健康被害を受ける――。いわゆる「受動喫煙」が日本で騒がれ出したのは、1999年にWHO(世界保健機関)が日本で国際会議を開いて「たばこ規制枠組条約」に調印させたことに端を発する。

 その後、2003年に国が医療制度改革の柱として制定した「健康増進法」の中に、受動喫煙の防止が謳われたことから、自治体をも巻き込んで異様なほどの“たばこバッシング”が始まった。

 2010年に飲食店などを対象とした受動喫煙防止条例を定めた神奈川県に続き、兵庫県が2014年より民間施設で同様の条例を施行する。大阪府に至っては飲食店や宿泊施設などについて「建物内全面禁煙の推進」を掲げた条例案をまとめ、府民の意見を募ったばかりだ。

 実は1981年に世界で初めて「受動喫煙=悪」との説を唱えたのは、当時、国立がんセンター疫学部長だった平山雄氏(故人)である。しかし、いまだに嫌煙家が依拠するこの“平山論文”の信憑性に首を傾げる研究者も多い。

『タバコ有害論に異議あり!』の著者で、独協医科大学放射線科助教の名取春彦氏もその一人。

「彼は、夫が喫煙・妻が非喫煙の場合、夫・妻とも非喫煙の場合より妻の肺がん死亡率がたまたま高く出たことに目をつけ、受動喫煙が原因だとしました。しかし、この論文では夫の死亡率が無視されるなど、存在するはずの8つのケースから都合のよいデータだけを選んでいるため、客観性と公平性が担保されていないのです」

 平山論文と似た疫学調査は2000年代になってからも度々出されている。だが、「たばこを吸う夫と一緒に住んでいる妻が、肺がんで死ぬリスクは約2倍」といった数字だけが一人歩きして、明確な科学的根拠は示されていない。

 それでは、副流煙の害はどの程度なのか。中部大学教授の武田邦彦氏は、「物理的な計算」から興味深い数字を導き出している。

「たばこを吸わない人が喫煙者と6畳の部屋に1時間いても、濃度が薄まることで、たばこを吸う量は直接吸う人の約1000分の1になります。また、いろいろなデータから見る副流煙の危険度は、たばこを吸わない人は吸う人の40分の1程度。たばこを吸って肺がんになる人は1000人に1人という調査が出ていることと照らし合わせると、副流煙で肺がんになる割合は、4万人にひとりということになります」

 もちろん武田氏も科学的な根拠を持っているわけではない。しかし、「科学的に受動喫煙の害が証明されない限り、喫煙者から“心の健康”を満たすたばこを取り上げることはできない」(武田氏)と主張しているのだ。

 前出の名取氏は、こんな見解を述べる。

「肺がんに限らず、多くの病気は社会的ストレスが重要な要因であることに疑いの余地はありません。夫婦揃って喫煙者の肺がん死亡率は、受動喫煙させる側やさせられる側の夫婦よりも低く、ともに非喫煙者に近いのではないかと予想します。

 受動喫煙問題は、受動喫煙そのものの健康被害ばかりが強調されますが、本当は我慢を強いられてきた結果の健康被害なのかもしれません。そう考えると、喫煙者もたばこの煙が嫌いな人たちに迷惑をかけないように分煙を徹底し、お互いに満足する環境をつくらなければなりません」

 科学や医学の数値だけでは測れない健康まで煙に巻いてしまえば、愛煙家の肩身は狭くなる一方だろう。


 ■病気にならないほうがおかしい、当世食生活事情

今の日本はモノがあふれています。電気製品でもおもちゃでも食品でも、3、40年前とは比較にならないほど豊かになっています。ところが、そのモノがありすぎることによって、健康面でも精神面でも、様々な弊害がでてきているというのは間違いなさそうです。  

 現在、糖尿病にかかっている人は、全国で700万人いるそうです。予備軍も含めれば、1370万人に上ると言われます。糖尿病自体は、それほど怖い病気ではないということですが、問題なのは合併症を引き起こした場合です。

 朝日新聞社の調べによれば、糖尿病患者のうち、毎年1万人が失明、また、1万人が腎臓を悪くして人工透析になり、また少なくとも1〜2万人が手足の指などを壊死によって切断しているそうです。このような慢性病の背景にあるのが、豊かすぎる食生活と言えるのです。

 戦後間もない頃に比べ、現在、卵の消費量は、6.4倍。かつて1週間に1つ食べていたのが、今は1日1つになっています。また肉は10倍、乳製品は19倍だということです。

 年代は少し古くなりますが、砂糖などは明治時代には、200gの砂糖を365日かけて食べていたのが、今は3、4日です。砂糖の消費量は、実に100倍にまで増えているのです。  短期間でこれだけ食生活が変化している動物は地球上で人間以外に見あたりません。

 とりわけ、糖分は、摂取量が多いと、体を冷やしたりカルシウムが不足し情緒不安を招いたりします。今の若い人が切れやすいのは、食生活の乱れが一因であるとの指摘があちこちでされています。

 人を良くすると書いて「食」という字になりますが、健康だけでなく、人格形成にも、正しい食生活が大切だということでしょう。その食生活を改めないで、いくら教育や法律だけを見直しても、今の若者や子供たちを救うことにはならないのではないでしょうか。

 デンマークのように、日本も「食育」の重要性を認識しなければならない時期に差しかかっていると思います。
健康食品記事《ゆまにて》より引用


 ■肉食文化と食料危機
健康食品記事《ゆまにて》より引用

 玄米や雑穀を主食にして菜食に心がける食事、いわゆる玄米自然食が私たちの健康を維持・増進する上でとても大事だということは、巷の健康雑誌や書籍でもとりあげられております。
 
 四つ足の動物食をなるべく減らし、野菜や海藻を多く摂るようにすることは、血液をきれいにして生活習慣病の予防・克服をする上では欠くことのできないポイントですね。
 この玄米自然食には、健康にとって大切であるという面とは別に、ぜひとも知っておきたい重要な面があります。それは、個人の問題ではなく、全人類的な問題です。

 
■肉食と食糧危機
 実は、私たちが今のように肉食を続けていけば、確実に食糧危機は早まるのです。
 飽食の国と言われる日本に住んでいると、食糧不足とか食糧危機と聞いても、あまりピンとは来ないでしょう。でも、テレビのニュースなどで、誰でも知っていらっしゃると思うのですが、世界中には飢えで苦しむ多くの人たちがいるのです。

■食糧不足の実体
 現在の世界人口は、約62億人です。そのうちの8億人強の人たちが、今、この瞬間にも飢えで苦しんでいるのです。
 
 ところがです。世界的に見て、本当に食糧が不足しているのかというと、そうでもないです。
 
 そのことを、穀物を例に取って見てみます。
 現在、世界の穀物生産量は年間約20億トンにもなります。世界の全人口は62億ですから、頭割りすれば、一人あたり300キロ以上もの供給が可能なのです。
 もう少し具体的に見ていきます。たとえば、トウモロコシの生産量を見てみますと、年間に約6億トンも生産されています。一人あたり100キロも行き渡ります。
 そして、トウモロコシ1キログラムのカロリーは3,500kcalです。人が生きていくのに必要な最低カロリー数は、500kcal/日。単純に計算すれば、このトウモロコシだけでも、今の地球人口すべてを養えるだけの生産量なのです。
 それなのに、どうして8億人も飢餓に苦しむ人たちが出てくるのでしょうか。
 実は、その原因が、肉食にあると言えるのです。
 
■牛肉1キロ=トウモロコシ8キロ
「牛肉1キロ=トウモロコシ8キロ」と、何やら暗号めいたこの数字。一体何かと言えば、これは、柔らかい牛肉を1キロ作るのに必要なトウモロコシの量だそうです。肉牛を1キロ太らせるのに、餌として、その8倍の穀物が必要になるのです。

 ただしこれは、平均的な肉牛の場合で、霜降りの高級和牛の場合は、その10倍、10キロの穀物が必要だそうです。それにビールを飲ませたり、いろいろやるわけです。
 
 さて、同じように、今度は米で換算してみます。
 ハンバーグ1個分の肉をつくるには、おにぎり何個分のお米が必要でしょうか。
 答えは、
 
 65個 です。
 65個のおにぎりだったら、がんばれば、私たちでも50日位は生きられそうです。

 つまりです。肉というのは、非常にエネルギー効率の悪い食べ物であるということなのです。肉食文化が拡大するということは、途方もない穀物の無駄使いをするということでもあるのです。
 
 このような事情によって、先にあげたトウモロコシの年間生産量6億トンのうち、約4億トンが家畜用飼料にされています。
 
 そしてこの4億トンのトウモロコシで作られた牛肉と、残りの2億トンのトウモロコシは、欧米や日本など、経済的に豊かな国に優先的に届けられます。私たちの今の肉食文化の背景には、このような歪んだ状況があるのです。

■このまま肉食文化が広がると、どうなるか。
 今現在、日本や欧米諸国以外でも、この肉食文化が急速に広がっています。
 たとえば中国です。中国は人口が13億人(実際は、戸籍を持たない人がおり、さらに2,3億人多いそうです)。そのうち、都市部に住み、欧米諸国のような生活をされつつある人は3億人と聞いています。
 もし中国でも、日本のように国民全体で肉を食べるようになったらどうなるでしょう。言うまでもなく、肉牛の飼料として穀物が大量に消費され、深刻な穀物不足を招いてしまうでしょう。

■食糧危機の兆し
 実はその兆しはすでに見えています。1998年の夏、長年、高い食糧の国内自給を維持してきた中国が、トウモロコシなどの穀物の緊急輸入に踏み切りました。これによって、シカゴ商品取引所の穀物市場は揺れに揺れたそうです。
 
 これは、急速な経済発展に比例して、中国国内の牛肉消費量がものすごい勢いで増えたことに原因があります。
 日本でも、戦後から現在に至るまで、急速に肉の消費量が増えました。それでも50年間で10倍ほどでした。
 ところが、今の中国は日本を遙かにしのぐ勢いです。(以下は牛肉のみの数字で単純比較は出来ないのですが、それでも)中国ではこの20年間で牛肉の消費量が20倍に増えたそうです。ただただ驚いてしまいます。

■牛が人間を食べている!?
 もし、このまま中国の牛肉消費量が増えると、やがて、アメリカが世界に誇るトウモロコシの生産地、コーンベルトはパンクします。そうなれば、今よりももっと、飢えで苦しむ人たちが増えるのは間違いありません。
 このような状況を皮肉って、ある評論家は、「牛が人間を食べている」と言ったそうですが、全くその通りであると言わなければなりません。
 
■先進国最低の食料自給率
そして、そうなると、私たち日本人にも食料不足は深刻な問題となってくるはずです。なぜなら、日本の食料自給率は、あまりにも低すぎるからです。
 日本の食料自給率は、カロリーベースで41%で、先進国の中でも最低です。穀物自給率では、さらに低く、29%(平成8年)です。イギリスも20年ほど前までは、70〜80%でしたが、政策転換により、今は100%を越えています。フランスはヨーロッパでは農業大国。ドイツももちろん100%以上です。この先進諸国と比べると、日本の穀物自給率の低さがよく分かります。

 この数字からも分かるように、近い将来、もし、食糧危機に陥った時、先進諸国で一番真っ先に打撃を受けるのは、日本ということになります。
 もし、食糧の輸出制限という合い口を喉元に突きつけられたら、日本はどうなってしまうのでしょうか。
 
■肉食を減らしましょう。
 以上見てきたように、事態は今でも結構深刻です。
 そして、これから毎年、世界の人口は9,500万人づつ増え続け、2025年には80億に達するそうです。そうなると食料不足は本当に現実味を帯びてきます。
 今年の3月、断食生菜食療法で有名な甲田光雄先生が、「肉食を今の半分に減らそう」という運動を旗揚げされましたが、それも、この食料不足を危惧された、愛と慈悲の実践ということだそうです。

■5回に1回、肉食をやめれば、餓死する人はいなくなる。
 とりあえず、今、出来ることとその効果について、具体的に挙げてみますと、日米の人たちが、5回に1回の肉食を止めることによって、世界中で飢餓で亡くなる人を無くすることができるそうです。肉の消費が減れば肉牛も減ります。肉牛が減れば、飼料とし使われていた穀物が余ります。その余った穀物を飢餓で苦しむ地域に回せればいいという計算です。
 
 いろいろな利害が絡み、ことはそう簡単ではないとも思います。でも、できるところから始めなければならない時期に差し掛かっています。
 これを読まれた皆様には、ぜひ、玄米自然食に心がけられて、肉食を減らしていただきたいと願っております。
 付け加えて、日本の食料自給率をこれ以上落とさないために、野菜や穀物などの食品は、国内産のものにして、安くても海外産のものは買わないようにしていただけたらと思うのです。(終)


 ■毎日2合のアルコールは、病気を防ぐ
PHP Biz Online 衆知 2013/3/1 12:10

イシハラクリニック院長・石原結実氏

PHP文庫『不節制なのに、なぜか「健康な人」の習慣』


「免疫力を高める生活習慣」とは

 日頃、実際に患者さんを診療していて不思議に思うことがあります。

 「鯨飲馬食」という言葉そのものに、アルコールや水分を浴びるように飲み、食べすぎると生活習慣病の原因とされる肉や卵や乳製品を、よくかまないで貪り食い、しかも、健康によいとされる適度な運動など全くせず、それにもかかわらず結構元気で、血液検査をしても、ほとんど何の異常値もない、という人がいらっしゃいます。

 逆に、早寝早起きを励行し、毎日ウォーキングやジムでの運動に汗を流し、しかも、野菜や果物をはじめ、すべて口にする食物は有機農法で育てたものや無添加食品という徹底した「健康おたく」でありながら、ある日突然、脳卒中で倒れたり、ガンを患ったりする人もいらっしゃいます。

 一般の医学常識では一見クリアに説明できなくても、またご本人自身が気づいてなくても、健康な人には知らず知らずのうちに、「免疫力を高める生活習慣」が身についているのでしょう。

 フィンランドで「健康診断をこまめに受け、医師の健康指導に真面目に従って受診したグループ」と「健康診断も受けずに、好き勝手な気ままな生活をしたグループ」を15年間追跡調査したところ、後者の方が疾病にかかる率が低く、自殺する人も少なかったという研究結果が発表されたことがあります。

 これを「フィンランド症候群」といいます。免疫を守る白血球のうち特に重要なのが、ガン細胞やウイルスをやっつけるNK細胞です。NK細胞を弱らせる一番の要因は、真面目な性格や生活からくる「ストレス」であるとされています。

 やはり、あまり真面目すぎない「いい加減」な性格や生活をする方が、健康、長寿にはいいようです。

 さて、本文中には、健康や長寿を保っている方々の症例をたくさん掲載しましたが、ほとんどの方々が、無理に何らかの健康法を実践されているのではなく、自然に生活の一部に取り入れているものが、結果的に免疫力を高め、健康・長寿につながっている、ということがわかります。

 つまり、本能に根ざした行為・行動であるわけです。

 患者さんや友人・知人から、種々の健康食品やサプリメント、または健康器具のパンフレットを見せられながら、「先生、これは、健康によい(体に効く)でしょうか」というような質問をよく受けます。その時の私の答えは、「私にはわかりません。そうしたものを今まで知らなかったし、研究もしたことがありませんから。ただし、自分が実際に試してみられて、

 (1)大便の出がよくなる
 (2)小便の出が多くなる
 (3)体が温まる
 (4)何となく気分がよい

 という4つの条件を満たすようなら、ぜひ続けてみることです」というものです。

 何といっても、「気分がよい」=「心身の調子がよい」と本能的に感じることが、免疫力が高まっていることを表わしているといってよいからです。

 (1)(2)については、体内の老廃物を存分に排泄すれば血液がキレイになり、東洋医学でいう「万病一元、血液の汚れから生ず」の“血液の汚れ”を取り去ることができますし、(3)については、体温上昇により、白血球の働きがよくなり、免疫力が上がるからです。そうした結果、「気分がよく」なるのです。

毎日2合のアルコールは、病気を防ぐ
   
 アルコールがけっして嫌いでない私は、ほとんど毎日、ビールや焼酎、ワイン、日本酒などのうち1〜2種で晩酌しています。量としては、さほど多くなく、日本酒に換算して2合程度ですが、半年も休肝日なしで毎日飲んでいると、折角のアルコールもうまくなくなってきます。食前に飲む、冷たいビールの、あの何とも言えない快感を味わうことができなくなるのです。

 そこで数日晩酌を休むと、今度は、食事がおいしくなくなるし、睡眠も何となく浅くなるし、翌日何となく肩や首がこる感じがしたり、全体的な活力がなくなっていくように感じることすらあります。

 知人、友人、患者さん達を観察していますと、毎日2合(日本酒に換算)前後の適酒をしている人は、大した病気にもかからないし、元気で長生きしているという印象があります。

 2003年10月31日に116歳の大往生をとげた鹿児島の本郷かまとさんは、黒砂糖からつくる焼酎を毎日飲んでいたというし、かまとさんと同郷の鹿児島県大島郡伊仙町出身で、1979年に「ギネスブック」で世界一の長寿者と認定された泉重千代翁も、毎夕1杯の黒糖焼酎を飲むのが楽しみであったとのこと。

 重千代翁は、慶応元年(1865)に生まれ、1985年に120歳(大還暦)を迎え、1986年に亡くなられました。

 私が5度、調査研究に出向いたコーカサス地方のセンテナリアン(100歳以上の長寿者)達は、毎食前にかなりの量の自家製の赤ワインを飲んでいました。

 日本の医学統計でも、全く飲酒をしない人の死亡率を、1.0とした場合、飲酒する人の死亡率は0.9台と、飲酒する人の方が低くなっています。「酒は百薬の長」といわれる所以でしょう。

 欧米でも、アルコールの効能に関する疫学調査や研究は数多く存在しています。

 米国イリノイ大学の1・ペズート博士らは、「ワインやブドウに含まれるレスブラトロールという物質が発ガンを抑制し、ガンの転移も防ぐ」(米国の科学誌『サイエンス』)と発表していますし、ドイツのワイン・アカデミー科学委員会のニコライ・ボルム博士も「ワインは心臓病のほか、脳梗塞、ガンの予防、ストレスの解消に役立つ。ワインの中に含まれるポリフェノールが血行をよくして血圧を下げたり、緊張感を解消する」(『英国医学会誌』1995年5月6日号)と述べています。

 また、デンマークで1万3000人の男女を12年間調査した結果、「全くアルコールを飲まない人に比べ、ワインを毎日3〜5杯飲む人は心臓病、脳梗塞などの循環器系疾患での死亡率が56%も低く、ビールを飲む人も28%低かった」ことが明らかにされています。

 最近発表された最新情報も含めて、これまでわかっているアルコールの効能を列挙すると、

(1)ストレスを発散し睡眠をよくして、免疫力を高める
(2)ガン抑制効果
(3)善玉コレステロールを増やし、虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)を防ぐ
(4)脳卒中を防ぐ
(5)適酒は、糖尿病のコントロールを良好にする
(6)適酒が脳を活性化し、ボケやアルツハイマー病を予防する
(7)胃液の分泌をよくして、食欲を増す
(8)適酒は、鎮静・睡眠作用がある

 など、適酒をしているかぎり「酒は百薬の長」“Wine is old man's milk.(ワインは老人のミルク)”ということになります。

 ただし、「1杯は人酒を飲み、2杯は酒酒を飲み、3杯は酒人を飲む」といわれる如く、飲みすぎには気をつけるべきです。

 その人によりますが、平均的に言って、日本酒換算で3合以上を5年以上飲んでいる人は、

 1.アルコール性肝障害(脂肪肝、肝炎、肝硬変)
 2.すい炎
 3.急性〜慢性胃炎
 4.高血圧症
 5.アルコール性心筋症(不整脈、心不全)

 などにかかりやすくなるので、要注意です。

(PHP文庫『不節制なのに、なぜか「健康な人」の習慣』より)


 ■日本人のお風呂と温泉(中国の教科書での日本人の風呂好きの紹介)
『全日制普通高級中学教科書日本語』第一冊(人民教育出版社)第12 課から

 
日本人が外国旅行から帰ってきて、まずしたいと思うことは、ゆっくりお風呂に入ることだと言われています。長い間、外国で生活している日本人も、その国の言葉で話し、その国の習慣で食事をしていても、お風呂だけは日本式のお風呂に入りたがります。ある本には、90パーセント近くの日本人がお風呂が好きだと書かれています。日本人が好きなお風呂の入り方は、浴槽にいっぱいになったお湯の中に入って、首までつかることです。体を洗うのは、浴槽の外です。ですから、お湯もあまり汚れません。このようなやり方は、世界でも珍しいと言われています。日本の夏は、暑くて湿度も高いです。汗で体がべとべとしている時や雨に降られてぬれた時など、お風呂に入れば、さっぱりして気持ちがよくなります。また、寒い冬には、熱いお湯にしばらくつかっていれば、体が暖まってきます。日本のお風呂は、疲れもとることができて、健康にとてもいいのです。では、なぜこのような習慣になったのでしょうか。その理由の一つに火山があります。日本は、世界でも有名な火山国です。そのために温泉がいろいろな所にあります。温泉のお湯はいつでもたくさん出ていますから、好きな時に入ることができます。いつごろから日本人は、お湯につかるようになったのか、あまり知られていませんが、山の中でクマやサルが気持ちよさそうにお湯につかっているのを見て、まねをしたのではないかと言われています。いくつかの温泉には、けがをしたクマやサルなどの動物たちが、お湯につかって体を治したという話が伝えられています。温泉のお湯の中には、体にとてもいい物が含まれています。ヨーロッパなどでは、温泉のお湯がよく飲まれています。日本でも温泉地に長い間泊まって、病気を治すことがよくあります。有名な温泉地には、ホテルがたくさん立ち並び、観光地となっています。若い人にも人気があり、お風呂に入りながら自然を楽しむこともできます。各家庭でも、温泉をまねてさまざまな薬をお湯に入れることがあります。お風呂は日本人の生活や健康と深く関係し、なくてはならないものになっています。

イラスト:飯塚よし照  (The Japan Forum Newsletter No.6, pp.14-15, “A Day in the Life” から)

 ■コーヒーの発見
不思議な赤い実 コーヒー

分類 アカネ科コーヒーノキ属
<英名> coffee
<学名> Coffea arabica
原産地 アフリカ、中東
性質 多年草
開花期 春〜夏(?)
樹の高さ 3m〜4.5m
光沢のある緑。手のひらくらいの大きさで網状脈。
2cmくらいの白い小さな合弁花
果実は熟すにつれて緑色から紅色、紫色に変化する。醗酵させた果実から採った種子を乾燥、焙煎し、コーヒー豆にするほか、デザートの香味付や色づけにも利用される。
花や果実が美しいので観賞用としても人気がある

■コーヒーの発見
最初にコーヒーを見つけたのはエチオピアの山羊たちだったようです。6世紀頃のある晩、夜遅くなっても山羊たちが全く眠る様子もなく騒いでいることに気が付いた山羊飼いが翌日羊たちの様子を見ていると、山に自生している何かの木の実を食べている様でした。
山羊飼いが、試しのその赤い「サクランボにそっくり」な木の実を食べてみると、今まで経験した事のないような不思議な気分になったのです。
山羊飼いはその木の実を見つけた地方の名前から、その木の実を「カッフェ」と名付けました。

■焙煎の発見
甘く、そして「食べると不思議な気分になる」その木の実はたちまち有名になり、それらが自生している場所は大切に保護されるようになりました。ところが、ある日突然カミナリが落ちカッフェの山はたちまち火事になってしまいました。心配した人々が慌てて駆けつけると、何やら辺り一面に漂う素敵な香り。こうして人々は、コーヒーをロースト(焙煎)する事を覚えました。
それからまもなく、コーヒーの豆をそのまま食べるのではなく、粉にしてお湯をそそぎ、粉が沈んだ頃飲む方が美味しい事にも気が付いたのです。

■コーヒーの歴史
アフリカでは昔からエチオピア原産のコーヒーを食用としており、さらにオマールでは砂漠に追いやられたイスラム教の托鉢僧がコーヒーの実を食べて生きながらえたと伝えられています。
またコーヒーは宗教的儀式における祈りの間の眠気覚ましとして使われ、紀元前600-1000年にはコーヒー豆を煮て作った飲み物「カワー・カヴァー」が作られていました。
近代、コーヒーは貿易や植民地政策によってヨーロッパに伝わりました。ローマ法王クレメントはコーヒーをとても珍重したと言われており、ヨーロッパの人々はコーヒーをクスリとして使っていました。
西暦1600年、ベニスではコーヒーショップが次々とオープンし、ヨーロッパにおけるコーヒーの黄金期を迎えます。当時コーヒービジネスが盛んだったイギリスでは2,000軒以上のコーヒーハウスの名が株式市場に連ねられていました。イギリスのペニー大学では最初に開業したコーヒーショップにおいて「よいサービスを受けたときに渡す報酬」について学者達の間で論議され、それが今の「チップ制度(TIPS=To Insure Prompt Service)」になっていきます。アメリカで1セント硬貨の事をペニーと呼ぶのは、当時チップは1セントだったからです。

■芸術家の多くもコーヒーを愛しています。モーツアルトやバッハもコーヒーハウスの常連客でしたし、バッハは「コーヒー・カンタータ」という曲を作曲しています。
アメリカへは1607年にジョン・スミス氏によってジェームス・タウンに持ち込まれたのが最初と言われており、当時のメイフラワー号の荷物リストに「コーヒー・パウダー」という記述を見ることができます。
コーヒーがアメリカ国内に浸透したのは独立戦争の時だと言われています。瞬く間にコーヒーはアメリカの人々に受け入れられ、コーヒーの生豆を輸入し、独自のローストをはじめる企業も現れます。
さらにインスタントコーヒーが第二次世界大戦中に登場。また西海岸ではダークロースト(深煎り)豆も登場し、1969年には月面でもコーヒーが飲まれました。

■コーヒーの楽しみ方
コーヒーを楽しむには、いろんなやり方があります。
簡単かつ確実においしいコーヒーを入れる方法として、ペーパーフィルターを使うことですが、そのほかのやり方でもそれぞれ違った味わいを楽しむことができます。
・ペーパーフィルター:
おいしくできる。失敗が少ない。後始末が簡単。器具が安い。
・ネルドリップ:
とてつもなくおいしくできる。でも、失敗することも多い。後始末もけっこう面倒。器具はとても安いので、チャレンジしてみて。コツは、ネル(布地)の中でコーヒーを泡立て、お湯を糸のように注ぎ続けること。
・サイフォン:
お湯が上に上がって、コーヒーが下に下がってくる。よく喫茶店のカウンターに置いてある。失敗は少ないけど、後始末が面倒。サイフォンを壊しやすいので、ていねいに扱う。
・エスプレッソ:
なんといっても、道具がかっこいい。火に直接かける小さなものから、機械みたいな雰囲気の大きいのまで、いろいろある。でも、家では、なかなかおいしくおいしくできない。
・カセット式エスプレッソ:
「ネスプレッソ」という商品名。機械は松下電器製とフィリップス製がある。カセットはネッスル製。簡単、確実でおいしい。
・パーコレーター:
ポットの中の管をお湯が通ってコーヒーが少しづつ濃くなる方式。ふたの真ん中のガラス窓からポコポコ見える、アメリカンタイプ。ストレートによい。
・水出し:
水を一滴一滴コーヒーの粉に落とし、一日かけてゆっくりとコーヒーを出す。まろやかでおいしい。家庭では、道具のセッティングだけでも大変。
・ふつうのコーヒーメーカー:
簡単にコーヒーが飲めるのがうれしい。コーヒーメーカーでずうっと保温してると香りが飛んでしまうし、煮詰まってしまう。たくさん作って残りを飲みたいときに火にかけて温め直すとよい。
・直煮:
お湯が沸いたなべにコーヒーの粉を入れ、コーヒーを煮出す方法。フィルターなどを通さず、そのままカップに注ぐ。しばらくそっとして粉が底に沈んでから飲む。濃く苦い味。トルコ風のやり方。
・インスタント:
忙しいときはこれ。器具も後始末もいらない。最近は、カプチーノとかエスプレッソとか、いろいろ売られていて楽しい。
・缶コーヒー:
独特の甘さがたまらない。種類も豊富でどれを買ったらいいか判らない位多い。


 ■ 毎日の緑茶やコーヒー、脳卒中予防に効果
緑茶やコーヒーをよく飲む人は、脳卒中になりにくい――。

 国立循環器病研究センターと国立がん研究センターなどのチームが、全国で約8万人を対象にした調査で、こんな研究成果をまとめ、15日、アメリカ心臓協会誌電子版に発表した。
チームの責任者で、国立循環器病研究センター(大阪府)の小久保喜弘・予防健診部医長は、「生活習慣を容易に改善できない人は、脳卒中予防のため緑茶を毎日飲むとよい」と述べている。

 緑茶やコーヒーの脳卒中の予防効果を示す研究は過去にもあるが、今回のような大規模調査は初めて。

 チームは、45〜74歳の女性4万4000人と男性3万8000人を平均13年間追跡調査し、これらを飲むと、脳出血や脳梗塞などの脳卒中の発症率が下がるかをみた。

緑茶を毎日2〜3杯飲む人は、まったく飲まない人に比べて14%発症率が低下。4杯以上なら20%下がった。緑茶に多く含まれるカテキンが脳血管を保護するよう働いている可能性があるという。

 一方、コーヒーを毎日1杯以上飲む人は、まったく飲まない人より発症率が20%低かった。コーヒーに含まれるクロロゲン酸の働きで血糖値が改善され、脳卒中の原因の一つである糖尿病の発症を抑えた結果とみている。

●データの補足説明:

コーヒーや茶にこのような効果のみられる理由は明確にされていないが、小久保氏は、血液凝固を抑制する特性によるものではないかと述べている。緑茶には抗酸化・抗炎症作用のあるカテキンが含まれている。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの物質は2型糖尿病の発症率を低下させることにより脳卒中リスクを低減する可能性があるという。さらに、コーヒーに含まれるカフェインはコレステロール値や血圧に影響を及ぼすほか、インスリン感受性に変化をもたらし血糖値に作用すると考えられている。

米国心臓協会(AHA)の元会長であるRalph Sacco氏は、この種の研究からは、コーヒーや茶を飲んだ結果として脳卒中リスクが低減したかどうかは明確にはわからないと指摘する一方、「これまでにも複数の研究でコーヒーや茶が脳の健康に有益な効果をもたらすことが示唆されており、健康を改善する重要かつシンプルな食事法があることを示すエビデンスが蓄積されつつある」と述べている。この報告は、「Stroke」オンライン版に3月14日掲載された。

今回の研究では、45〜74歳の男女約8万3,000人を対象にデータを収集。緑茶およびコーヒーを飲む量のほか、通院記録、死亡診断書、心疾患および脳卒中による死亡のデータを追跡した。平均13年の追跡の結果、1日に1杯以上コーヒーを飲む人は脳卒中リスクが約20%低いことが判明。また、1日に2〜3杯緑茶を飲む人はほとんど飲まない人に比べ、脳卒中リスクが14%低く、4杯以上飲む人では20%低かった。出血性脳卒中のリスクは、コーヒーを1日1杯または緑茶を1日2杯飲む人では32%低かった。出血性脳卒中は、脳卒中全体の約13%を占めるという。

この所見がコーヒーおよび茶に関連するものであることを確かめるため、今回の研究では年齢、性別、体重、喫煙、飲酒、食事および運動などの因子も考慮されている。なお、緑茶を飲んでいた人は、飲まない人に比べ運動をする比率が高かったと、研究グループは指摘している。

(2013年3月14日 読売新聞・HealthDay News)


 ■ 腰痛緩和にオステオパシー療法は超音波より有効
 整骨医が手技で患者の腰の筋肉を動かすオステオパシー療法(オステオパシー・マニピレーション・テクニック[OMT])が、超音波療法よりも腰痛緩和に優れている可能性が新しい研究で示唆された。OMTにより、超音波療法よりも高い治療効果が得られただけでなく、12週間の研究期間中に使用する薬剤の量にも減少が認められたという。OMTを受けた患者の約3分の2で30%の疼痛レベル軽減が認められ、そのうち半数には50%の疼痛軽減がみられた。

 研究著者である米ノース・テキサス大学健康科学センターのCathleen Kearns氏によると、慢性腰痛患者は薬物治療を受けることが多いが、薬剤は必ずしも有効ではなく、次第に必要とする用量が増大して重篤な副作用が生じることがあるという。例えば、腰痛緩和のためにイブプロフェンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を服用する患者は、出血性潰瘍などの消化管障害を発症することがある。

 OMTでは、整骨医が腰部に両手で圧力をかけることによって圧痛、ゆがみ、可動域などを評価した後、いくつかの手技を施すことにより可動域を増大させ、圧痛を軽減し、身体の機能レベルを最善の状態に修復する。一方、超音波療法では音波で身体の組織を温め、筋肉を弛緩させるが、「われわれの研究では、超音波療法を受けた患者には疼痛の軽減も処方薬の減量も認められなかった」とKearns氏は述べている。「Annals of Family Medicine」3月/4月号に掲載された今回の研究では、450人強の慢性腰痛患者のうち、OMTを受けた群は超音波療法群に比べて治療結果に満足する比率が高かった。ただし、身体機能、全身の健康状態および仕事関連の障害に差はみられなかった。

 米オハイオ大学整骨医学部のKenneth Johnson氏は、腰痛治療としてOMTを支持しており、今回の研究について「われわれが日常的に行っている治療の正当性を実証するもの。OMTは腰痛の緩和に有用であり、結果として薬剤を減量できることに自信を感じている」と述べている。

 一方、ニューヨークの専門医Michael Mizhiritsky氏は、腰痛を緩和する方法は超音波やOMTのほかにも多数あると指摘。まず、病歴の聴取と身体検査により腰痛の原因を明らかにし、それによって冷却療法、温熱療法、理学療法、運動、ストレッチ、注射のほか、場合により外科手術など多数の選択肢があると述べている。(HealthDay News 3月18日)

ヘルスデージャパン(2013.3.28掲載)

 ■ ヨーグルトの秘めた実力
≪時事ジットコム≫より

●免疫力アップで健康維持

 医食同源。バランスの取れた食事を通じて病気を予防、治療しようとの考えは、古くから知られている。元々は中国の薬食同源思想に基づいているが、近年、欧州で生まれたヨーグルトに免疫力を高める効果があるとの研究に注目が集まっている。効果に個人差があるのは免れないが、多数の患者を毎年出すインフルエンザや風邪の予防とヨーグルト摂取に関する広域調査が実施され、一定の働きをしていることが分かってきた。

 免疫力とは何か。健康を維持するための大切な機能で、生まれながらにして持っている自然免疫と、感染などを通じて得られる獲得免疫があるが、いずれもウイルスやがん細胞など体の中にはあってほしくないものを排除する仕組みをいう。

 この防御システムで重要な働きを担っているリンパ球の一つに、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)がある。

 NK細胞は自然免疫を担っており、普段は血液中にいて悪者がいないかパトロール。そして、インフルエンザなどのウイルスに感染した細胞や、初期のがん細胞などを察知すると退治していると考えられている。
 体の中では、1日に3000〜5000個の細胞ががん化しているといわれるが、そうした初期のがん細胞やウイルスはNK細胞などが排除しているからこそ、多くの人が健康を維持できているわけだ。

 このNK細胞は、年齢を重ねるにつれて働きが弱くなるが、生活習慣によって元気になったり、活動が低下したりすることが知られている。具体的には、喫煙、食習慣や睡眠、ストレスなどが影響しているとされるが、近年の研究により、ヨーグルトに含まれる乳酸菌や乳酸菌の菌膜外側に産生する菌体外多糖体(EPS)が免疫力を高めることが明らかになってきた。

 こうした中、EPSを大量に産生する乳酸菌株が見つかり、「1073R−1乳酸菌」(R−1乳酸菌)と名付けられた。
風邪、インフルを退治

 R−1乳酸菌が産生するEPSは腸管粘膜を経由するなどしてNK細胞を活性化し、免疫活性化作用があると考えられている。

 こうした中、ヨーグルトの摂取を通じた、風邪やインフルエンザの予防効果に関して、山形県舟形町に住む健康な高齢者57人(69〜80歳)と佐賀県有田町に住む85人(59歳〜85歳)を対象に調査が行われた。

 この調査は、R−1乳酸菌を使用したヨーグルトを1日90グラム食べるグループと牛乳を1日100ミリリットル飲むグループに分けて実施。舟形町では2005年3月13日から8週間、有田町では06年11月14日から12週間にわたって継続的に摂取してもらって体の状態を比較した。

 その結果、いずれの地域でも、ヨーグルトを食べた高齢者はNK細胞が活性化。風邪を引くリスクに関しても比較したところ、ヨーグルトを食べたグループのリスクは牛乳を飲んだグループの半分以下に低減する結果に。こうした結果は英国の学術誌でも紹介された。

 また、10年9月7日から11年3月18日にかけて、佐賀県有田町役場が地元の病院と協力して、小中学生を対象にしてヨーグルトとインフルエンザ予防に関して調査した。対象は町内の小・中学校に通う児童・生徒計1904人。R−1乳酸菌を使用したヨーグルトを登校日に1日112ミリリットル摂取してもらい、インフルエンザにかかる割合を周辺の自治体や県全体と比較した。

 その結果、有田町の小学生は感染率が0.64(県全体4.73)、中学校は0.31で(同じく2.57)で、周辺自治体や県全体よりも大幅に低かった。

乳酸菌が効くのは当たり前

腸内細菌の働きや免疫、NK細胞などに関してインタビューで話す藤田紘一郎・東京医科歯科大名誉教授(東京都上野)
2013年02月06日【時事通信社】

【インタビュー】
  ―健康の維持と免疫力の関係が注目されています。免疫力を高めるにはどんな生活が望ましいのでしょうか。

 腸内細菌を増やさなくては、いけない。増やすためには、(腸内細菌の)餌である穀類、野菜類、豆類の手作り食品を摂る。それから発酵食品。お漬物、ヨーグルト、納豆などの発酵食品を摂ることです。(NK細胞を含む)免疫細胞は70%が腸にあり、そこへ情報を出しているのが腸内細菌で、腸内細菌によって(免疫細胞が)造られています。
 残る30%は、笑う、良いことをイメージする、運動するといったことが影響している。NK細胞は笑うと出てくるし、落ち込むと減り、社会貢献をすると免疫が上がる。心の動き、メンタルな面が多いのです。

 ―乳酸菌を摂取すると風邪にかかりにくくなるとの調査結果も出ています。

 (風邪のリスクが低下するのは)当たり前だと思います。(NK活性を高める)乳酸菌を飲めば、(免疫力がある)NK細胞がワーッと出てきて、風邪をバーっとやっつける。NK細胞が強ければ、風邪になっている日数も、風邪の回数も減っています。きれいに差が出ており、当然です。
 インフルエンザでもそう。(NK細胞は)病原体と直接、戦っている。がん細胞に対しても同じで、NK細胞は自然免疫の先兵です。

 ―年間1万人がインフルエンザで死亡しています。免疫力によって減らせるのでしょうか。

 免疫力を上げれば、減らせます。
 かつて新型インフルエンザで騒ぎましたが、普通のインフルエンザで死ぬ方がずっと多く、お年寄りはインフルエンザで亡くなる率が非常に高い。
 (高齢者の免疫力が下がるのは)、タンパク質が不足しているためで、タンパク質不足がNK細胞の活性を落としています。免疫力を上げるには、(NK細胞を造る)腸内細菌の餌になる野菜、豆類は毎日、そして週2回はステーキを食べる。さらに、笑って、楽しく、生きがいのある生活をすれば、満点です。

 ■ 「花粉症の人は恋人ができる確率が高まる」そのメカニズムを解明
2013.4.1 13:00 (1/2ページ)[病気・医療]

 「花粉症を発症した人は恋人ができる確率が高まる」との調査結果を裏づける変化が起きていることが発見された。花粉症患者の体内では何が起きているのだろうか。そして花粉症と恋の因果関係とは? 何と被験者の鼻腔には、フェロモン受容体をもつ細胞が生じているという。

 2009年、オランダ・ハーグの環境リサーチシンクタンクが日本で行った花粉症の実態調査から「花粉症を発症した人は恋人ができる確率が高まる」との調査結果を公表したことで世間を驚かせたのは記憶に新しいが、今度はイスラエルの研究グループが、花粉症患者の体内で、これらの調査結果を裏づける驚くべき変化が起きていることを発見した。
 2009年の調査結果では、花粉症の発症期間中に新たに恋人や愛人ができる割合が高いのは、花粉症が引き起こす慢性的な鼻づまりが血中の酸素濃度を低下させ、頭がぼんやりとしてしまうことで異性に対するコミュニケーションのハードルが下がり、意識せぬうちに親密な関係になってしまうのが原因ではないか、という仮説が立てられていた。しかし、今回の研究で花粉症を発症している125人の体内を精密に検査したことからわかったのは、約2割の被験者の鼻腔に、ある特別な機能が生まれ始めている、という驚くべき事実だった。それは、花粉症によってフェロモンを受容する器官が生み出されているという事実だ。
 フェロモンが多くの動物の求愛行動と深く関係していることは、古くから知られている。ヒトも例外ではなく、フェロモンの存在を示唆する実験結果がいくつも報告されていた。その一方でイヌやウマ、ネズミなどほとんどの哺乳類には、フェロモンを受け取る器官が鼻腔内に備わっているが、ヒトを含む霊長類にはこうした器官が存在しないと考えられていた。しかし今回、イスラエル・ディアスポラ医学研究所のザハ・ザハディ教授らは、花粉症を発症した日本人被験者の鼻腔には、フェロモン受容体をもつ細胞が生じていることを明らかにした。ザハディ教授は語る。

 「実に驚くべき結果です。長年花粉症に悩まされてきた日本人が、この自然による『公害』とも言える環境に適応し始めているという証拠となるものだと思います。通常、花粉が引き起こすアレルギー反応は、鼻水や鼻づまり、目のかゆみといった不快な症状をもたらすのみです。しかし長年花粉症に対応してきた、わたしたちが呼ぶところの『ヴェテラン』たちは、花粉症を自分たちの生存に利用するメカニズムを体内に生み出しつつあるのです」
 ザハディ教授らの研究では、花粉症が引き起こす慢性的な鼻粘膜の炎症により、一部の細胞がフェロモン受容体をつくり出すようになることを解明した。彼らの実験結果は、花粉に含まれるある種の化学物質と体内で産生されるロイコトリエンがその引き金となっていることを示している。ほかのアレルギーではなく、花粉症だけでこのようなフェロモン応答が見られるようになるのは、花粉そのものが引き金の一因となっているからだ。
 こうした現象はヒトだけに見られるわけではない。アルゼンチン・コルドバ農業大学の研究によれば、ゴリラやチンパンジー、コウモリといった動物の鼻でも、花粉症によってフェロモンを受容する機能が生み出されているというのだ。エルネスト・デ・ラ・セルナ教授は次のように語る。
恋人ができるんだからいいじゃないか、という考えは間違っている

 「例えばコウモリの場合、極端な猛暑といった、環境にドラスティックな変化が起こり、花粉の飛散量が非常に多くなったときに、フェロモンシステムが働くようになることが明らかになっています。花粉症は、一見すると不快なだけで、生物に致命的な作用を及ぼすようなものには思えないかもしれません。しかし、それが毎年毎年蓄積していくことで種全体に影響を及ぼしてしまっていることが、この検査結果から逆にわかったということにもなるでしょう。つまり、花粉はさまざまな生物種にとって適応を促すに足る脅威である、ということです」
 この調査結果をどのように受け止めるかは、さまざまな議論がありそうだが、ザハディ教授はこう釘をさす。
 「適応しているんだからいいじゃないか、恋人ができるんだからいいじゃないか、という話になってしまうことをわたしは恐れています。花粉症の人にとって、花粉は仕事や日常生活にさえさしさわる極度のストレスをもたらしていることを忘れてはなりません。恋人ができやすいとは言っても、多くの場合、本人はそれどころではないということのほうがむしろ普通なのです。よく言われているように、花粉症はある部分人災でもありますので、このような事態を招いたことに対して、国や自治体が相応の対策を講じることがないがしろにされてはなりません」

 今回解明されたメカニズムは、気になる異性の前で鼻をかみつづけなければならないような花粉症の人が、その恋愛面の不利を補うためのシステムと考えることができるのかもしれない。ちなみにこのフェロモン受容細胞は、花粉症の季節が終わると速やかに消失するため、「恋の季節」はごく限られたものだという。加えて、フェロモン受容細胞産生の効果がより強く出るのはヒノキやスギで、最も強いのはブタクサなのだそうだ。

 ■ 睡眠は心身のメンテナンス
 このほど読売新聞東京本社で「病院へ行く前に〜生活習慣病としてのうつ病」セミナーが開かれ、井原裕・独協医大越谷病院こころの診療科教授が講演しました。井原教授は、うつのような症状が現れた場合でも、すぐに薬に頼るのではなく、まずは睡眠、運動飲酒などの生活習慣に問題がないかのチェックが大切であることを、丁寧に解説しました。講演と質疑応答の内容を紹介します。

 うつ、不安、不眠、こだわり、こういうメンタルな症状があると、「精神科やメンタルクリニックを受診しましょう」、と一時期言われていました。それが間違っているとは申しません。でも、残念ながら現状の精神科医、心療内科医の診療の仕事ぶりは、「じゃあ薬を出しておきます」となるだけです。そこを私は心配しています。

 都市部の病院にいらっしゃる患者さんの多くは、病気というより、むしろ「悩める健康人」です。薬は、病気の人に使えば病気を治すことができますが、「悩める健康人」をもっと健康にするものではありません。薬は、飲めば飲むほどヘルシーになる、というものではないんです。薬を必要としている患者さんに限定して意味がある。必要としている患者さんでも、必要な量を越すとよろしくない。必要でない薬まで飲んでしまうと、副作用が出てしまう。そのように、薬物療法は諸刃の剣で、効果と副作用があるものですから、それをわきまえるのが精神科医の仕事のはずなのです。でも、現状ではなかなか十分に薬のマイナス面を認識できていないところもあります。
独協医大越谷病院 こころの診療科教授 井原裕(いはら・ひろし)先生

 1962年、鎌倉生まれ。東北大学医学部卒業。自治医科大学大学院、ケンブリッジ大学大学院を修了。医学博士、PhD。順天堂大学准教授を経て、2008年1月より独協医科大学越谷病院こころの診療科教授。専門は、司法精神医学、精神病理・精神療法学、思春期精神医学で、その関連学会(司法精神医学会、うつ病学会、精神病理・精神療法学会等)の評議員を務める。著書に「精神科医島崎敏樹」(東信堂)、「激励禁忌神話の終焉」(日本評論社)、「精神鑑定の乱用」(金剛出版)、「思春期の精神科面接ライブ」(星和書店)など。


 私の勤める独協医大越谷病院では外来にいろいろな患者さんが来ます。その多くの患者さんは「悩める健康人」です。「悩める健康人」の方に対しては、薬物療法の前に、むしろ、生活習慣を見直すことで、ヘルシーな生活を送っていただき、悩むべきことを上手に悩んでいただきましょう、そういうことを普段アドバイスさせていただいています。

 生活習慣といえば、まず第一には、食事や運動、たばこ、お酒です。でも今日は、心の健康のために、もう一つの大切な生活習慣をここに加えていただきたい。それは何かといいますと、「睡眠」です。

 睡眠に関しては、幻想が多すぎます、一般の人たちに信じられていることには嘘(うそ)が多すぎる。例えば、「ナポレオンは3時間しか寝なかった」。実際には「ナポレオン幻想」は根拠がない。ナポレオン三段論法とは、「1.ナポレオンは3時間しか寝なかった」「2.ナポレオンは英雄だ、おれも英雄になりたいよ」「3.だから3時間しか寝ないぞ」、ということですね。ところが、実際には、側近の回顧録等によると、ナポレオンはけっこう昼寝をしていたという説があります。会議中に寝ていたと。だから本当に3時間しか寝ていないわけではないんですね。ただ、いざ戦いとなったら、スタンバイOKで、3時間しか寝ないけれど十分に戦うことができたんだと思います。逆に言えば、普段は体調を整えていたから、いざという時に3時間睡眠で戦えたのだろうと思います。

 これは私たち医者にも言えることで、医者こそがナポレオン幻想の虜(とりこ)になっている。私も病院で当直をしますので、夜中に患者さんが具合が悪くなったら1、2時間しか眠れない時もあります。でも、私たち医者の場合は、「もしかしたら明日の当直は全く眠れないかもしれないぞ」という覚悟をしなければいけないので、逆に言えば普段から体調を整えておいて、万が一、明日の夜の当直で急変して眠れなかったとしても、できるだけ次の日の仕事へ支障が少なくなるように、普段から体調を整える、そういう考え方をしておくべきだと思います。ナポレオンの例に戻りますと、毎日3時間睡眠で大丈夫ということではなくて、いざとなったら3時間睡眠になることもありえる、だからこそ、普段から十分眠ってコンディションを整えておくことが大切なのだと思います。

 長時間睡眠は無能の証拠、と思っている人も大勢いますが、実際には、長時間睡眠を公言している著名人もいます。堀江貴文さん8時間、石原慎太郎さんも9時間くらい寝ると。アスリートは長く眠りますね、イチロー9時間、タイガー・ウッズ10時間といわれています。お相撲さんも激しい運動のあとたくさん眠ります、寝ている間に体が作られることをアスリートはよく知っているからです。眠るのはトレーニングの一環なんです。アインシュタインは10時間寝たと言われています。

 睡眠幻想の3番目「睡眠は休息である」。これも間違いです。医学的に見て睡眠は休息ではありません。心身のメンテナンスは夜間作業です。免疫力、治癒力は睡眠中に作られます。寝る子は育つ。これは内分泌学的な根拠があります。成長ホルモンは眠っている間に分泌が高まります。睡眠中に血や肉が作られ、睡眠中に甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、プロラクチンなどのホルモンの分泌が高まります。これらのホルモンは、小さい物質を素材として大きい物質を作る、同化という作業をしています。つまり、人体という工場の中でモノを作る作業は、夜、行われているわけです。心身のメンテナンスは夜間作業です。女性の方はたぶんご存じだと思いますが、みなさんの美しさはいつできるのか。これは眠っている時ですね。ですから、朝目覚めて鏡を見た瞬間に、「きょうの私はきれいだわ」と思うかどうか、何が違うのかというと睡眠なんです。

 睡眠幻想その4、「酒を飲むとよく眠れる」、これも間違いです。酒は睡眠の質を悪くします。睡眠にはいくつかの段階がありますが、大切なのは深い睡眠です。酒を飲むとこの深い睡眠が減ってしまいます。脳波を取ってみると実際には睡眠は浅いです。また、中途覚醒が多くなり、尿意を催して目が覚めてしまうこともあります。アルコールをたくさん飲んで23時ごろ寝ると、午前3時ごろにアルコールの血中濃度がストンと落ちるので、そこで目が覚めてもう眠れない、ということもあります。アルコールは睡眠の質をはなはだ悪くします。

(2013年4月1日 読売新聞)

 ■ 食物アレルギー 原因特定し除去を 成長とともに耐性化も
岐阜大学 大学院医学系研究科臨床准教授小児科医 寺本貴英氏 (岐阜新聞社・2013年4月1日)

 近年、食物アレルギーの子どもが増えているといわれています。食物アレルギーは卵、牛乳、小麦など特定の食材によって、免疫機序を介して不利益な症状を起こすことです。アレルギー体質の人では、特定のタンパク質にIgE抗体をつくりやすい傾向があり、摂取した食物にこれらのIgE抗体を介して、症状が起こるとされています。多くは摂取からおおよそ2時間以内にみられる即時型反応を示しますが、やや遅れて症状が起こることもあります。

 症状の中で最も多いのが皮膚症状(じんましん、かゆみ、皮疹など)です。呼吸器症状(せき、ゼイゼイする、呼吸困難など)、粘膜症状(口や目が赤く腫れるなど)、消化器症状(腹痛、おうと、下痢など)も同時、または別々に現れます。重症では、血圧が下がって意識がなくなるといった症状を呈するアナフィラキシーショックを起こすこともあります。

 小児の食物アレルギーでは、成長とともに自然に軽快・治癒する可能性があります。卵、牛乳、小麦などは小学校入学前に8割程度は反応を起こさなくなる耐性化がみられます。しかし食物アレルギーの経過には個人差があり、特にピーナツ、魚介類、果実、ソバ、種子類のアレルギーは耐性化しにくいと考えられています。

 診断は、@詳しい問診=詳しい病歴を話すだけでも大まかな診断ができますA皮膚試験=食物の成分を皮膚につけて専用の針で軽く刺激し、その後の皮膚の反応をみる検査B血液検査(血中抗原特異的IgE抗体検査)=原因食物を疑うのに、どの食物に対するIgE抗体があるかを調べる検査C食物除去試験=疑わしい食物を1〜2週間除去して症状が治まるかどうかをみる検査D食物負荷試験=疑わしい食物を食べてみて、症状が出るかどうかをみる検査。Dは食物除去試験に続いて診断のために行われるものと、耐性化が得られたかを確認するために行われるものがあります。

 治療は、原因となる食物を除去することが最も重要になります。ただし、食物アレルギーは成長著しい時期のお子さんに多いため、最小限の除去にすることや除去した食物を補う栄養指導も必要です。また、原因食物を誤って食べて症状が出てしまった場合には、抗ヒスタミン薬などの飲み薬、アナフィラキシーショックに対してはアドレナリン自己注射薬(エピペン)が使われます。

 これらの薬により、アレルギー反応を抑え、症状をやわらげることができます。症状が出たときの対応や給食対応については、かかりつけ医とあらかじめ相談して決めておき、さらに保育所・幼稚園・学校の関係者とも、よく話し合っておきましょう。

 ■ 「学習は脳にダメージを与える」マウス実験で発見
 新しい環境を探索しようとしたり、難しい内容を理解しようとしたときなどに、脳の細胞ではDNAレベルの物理的な損傷が生じている可能性があるという研究結果が発表された。

 量子物理学の難しい記事などを読むと頭が痛くなる、と文句を言う人は多いかもしれない。そうした表現は象徴的なものだろうが、しかし、もしかしたら難しい内容は、実際に脳の細胞へ物理的な損傷を与えている可能性があるという研究結果が発表された。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームが「Nature Neuroscience」に発表した論文によると、研究チームは人間の早発性アルツハイマー型認知症に関連づけられるいくつかの突然変異を、遺伝子操作によって模倣したマウスを使って研究していた。実験の一環として、チームはマウスの脳にDNA損傷の兆候を探した。その結果、概してマウスの脳が活動状態にあるとき、具体的にはマウスに新しい環境を探索させた後に、損傷の兆候が増加することがわかった。

 この結果だけでも興味深いが、本当に驚くのはアルツハイマーを発症しやすくせず、脳障害リスクが上昇した状態になかった対照群のマウスの調査結果だ。この対照群にも、同環境でのDNA損傷の兆候がみられたのだ(ただし、アルツハイマーを発症しやすくしたマウスに比べてレベルはやや低かった)。

マウスの脳(帯状皮質)にある神経細胞。画像はWikimeia Commons

 このとき生じたDNA損傷は、「二重鎖切断(double-strand break)」という種類のもので、DNAの二重らせんが両方とも切れ、1個のDNA分子が2つに分かれてしまう損傷だ。
 研究チームはDNAそのものをマウスの脳から分離してみた。その結果、刺激の多い環境におかれたマウスには、DNA損傷がより多くみられることが確認された。そのようなマウスでは、40%もの細胞に損傷の兆候を示すDNAが見つかった。
 こうした損傷は神経活動のみによっても起きるのかを調べるため、研究チームは麻酔をかけたマウスの目に光を照射した。これでも損傷が生じた。脳そのものの神経活動を活性化させても結果は同様だった。また、さまざまな抑制因子を使って、原因をグルタミン酸という1つの神経伝達分子にまで絞り込むことに成功した。
 神経活動は、そもそも多くのエネルギーを消費するものだ。また高い代謝活性は、DNAに損傷を与えうる酸素ラジカルを生成する傾向にある。ところが、抗酸化物質を用いてもDNAの損傷は防げず、この結果は原因をどこか別のところに求める必要があることを示しているとみられる。研究チームは、神経発火に続く遺伝子活性の変化が原因である可能性を示唆している。
 この現象は長期的な損傷を与えるのだろうか。研究チームが明らかにした限りでは、この損傷は1日以内に修復されるため、問題は一時的なものに終わるはずだと考えられている。また他の複数の研究から、知的に活発であり続けると、老化に伴って生じる一般的な種類の認知機能低下を防ぐのに効果があることが明らかになっている。それでも今回の研究は、病態、この研究の場合はアルツハイマーの病態に関連づけられる損傷が増えると、修復システムによる修復が追いつかなくなり、病気の進行に寄与する可能性を示唆している。

WIRED関連ニュース 産経ニュース(2013.3.29 14:00)

 ■ 夢の内容解読に成功 睡眠中の脳活動から 京都の研究所
 人が睡眠中にどんな夢を見たのかを、脳活動のパターンから推定することに成功したと、国際電気通信基礎技術研究所(京都府)が発表した。

 人はなぜ夢を見るのかなど、なぞの解明につながる可能性があるという。4日の米科学誌サイエンス電子版に掲載される。

 実験では、男性3人を寝入って間もなく起こすことを200回以上繰り返し、見た夢の内容と脳の活動(血流の変化)を記録した。夢によく出る内容として「女性」や「道」など計60項目を選定。例えば、夢を見ている時の脳活動パターンの中に、「女性」の映像を見た時と同じパターンがあれば、「女性」が出た夢だと判定し、正しいかどうかを確認した。

 その結果、60項目のうち「女性」「文字」「本」など15項目については、7割以上の確率で、夢に出てきたかどうか当てることができた。夢を見ている時は、画像を見ているのと同じように脳が活動していると、研究チームではみている。

(2013年4月5日  読売新聞)


 ■ エンジン音は官能の調べ? マセラティ 脳活性化 ストラディバリと共通点
東京新聞 2013年4月3日 朝刊

 イタリアの高級車メーカー「マセラティ」の日本法人が、バイオリンの音色と共通点がある独特のエンジン音を新たなセールスポイントにして、販売拡大に取り組んでいる。

 「マセラティ・サウンド」ともいわれるエンジン音は、マセラティ愛好者から「官能的」と評されるほど人気が高い。その理由を科学的に解明しようと、同社が昨年、中央大の音響システム研究室などに分析を依頼したところ、エンジン音に脳を活性化させる効果があるなど、バイオリンの名器ストラディバリウスの音色と共通点があることが分かった。
 三月には、著名バイオリニストの千住真理子さんが都内の販売店でストラディバリウスを演奏するイベントを開催。エンジン音とともにマセラティ・ファンを魅了したようだ。
 二日には、主力のスポーツセダン「クアトロポルテ GT S」(千六百九十万円)を約十年ぶりに全面改良して発売した。日本法人のファブリッツィオ・カッツォーリ社長は「二〇一五年には国内販売台数を(現在の三百十一台から)五倍に引き上げたい」と話している。

マセラティの販売店でストラディバリウスを演奏する千住真理子さん=東京都目黒区で

 ■ 花粉症、欧米でも増加 温暖化で開花期間延び

2013.4.2 産経新聞

 日本で「国民病」ともいわれる花粉症は米国や欧州などでも増加傾向にある。地球温暖化で花粉を飛ばす植物の開花期間が延び、花粉の量が増えていることが原因の一つとみられ、患者は今後も増える勢いだ。

 花粉症は米国、カナダや英国、南半球のオーストラリアにもあり、患者は国民の15〜25%程度。約20%が花粉症とされる日本とあまり変わらない。

 米国立アレルギー感染症研究所によると、米で花粉症の最も大きな原因はキク科の植物ブタクサ。夏の終わりから初秋にかけてが花粉のピークで、国民の15〜20%が花粉症とみられる。

 世界保健機関(WHO)などが昨年10月に発表した報告書は、環境と生活様式の変化が花粉症増加を助長していると分析。温暖化により欧州全域で植物の成長する季節が長くなり、大気中の花粉の量も増えていると指摘した。(共同)


 ■ 花粉症 (健やかあおもり 長寿のコツより) 
2009年2月3日 東奥日報特集 川上立太郎 健やかあおもり 長寿のコツ より

花粉症(上)/ダニの増加が影響?

 私ごとですが、この一月六日で九十七歳になりました。この連載のタイトルの年齢の部分を変えるそうなので、ご報告しておきます。

 【いまや国民病】さて、これからの季節、多くの人を悩ませる花粉症について少し述べたいと思います。最近は青森でも増えていると聞きますが、国民病といわれるほど急増しています。アレルギー性鼻炎の一種で、症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり。スギの花粉が主原因とされています。

 しかし、日本は昔からスギの植林をしてきた国です。半世紀前はスギの産地ですらこの病名はなかったことを考えると、原因が花粉の増加だけでは納得がいきません。アレルギー性疾患そのものが激増しており、私は「ダニの増加」と「副腎機能の退化」が影響しているのではないかと考えています。 
【複合汚染】二月ころから始まる花粉症はスギの花粉が第一原因であることは言うまでもありませんが、排出ガスも増えており、実はダニも激増しているのです。これを複合汚染といいます。

アレルギーを起こす原因物質を「抗原」と呼び、これに対抗して体内にできる物質を「抗体」といいます。体質にもよりますが、例えばハウスダストや花粉にさらされると、次第にアレルギーを起こしやすくなります。そのような人は原因物質を少し吸い込むたびに症状が出てきます。

 抗原には動物性(ダニの死がいやふん、動物の毛、フケのほか魚類、卵、牛乳などの食べ物など)、植物性(花粉、ウルシ、ソバガラなど)、薬物(抗生物質、かぜ薬に使われるピリン剤など多数)、染料や化粧品など大変な種類があります。

 【日本はダニ王国】抗原は皮膚反応テストで判断しますが、日本で一番多いのがハウスダストで特にダニが目立ちます。塵(ちり)一グラム当たりのダニ数はカナダ五匹、北米十匹、南米十匹、世界平均十五匹以下に対し、日本は百倍の千五百匹。このように増えたのは近年なのです。

 高温多湿の日本の家屋は開放的で風通しがよいように発達してきました。ところが戦後急速に近代化して、洋風建築となりました。アルミサッシも普及して冬の寒さ対策には貢献しましたが、予期せぬデメリットが待ち伏せていました。それは密閉による屋内の高温多湿化です。

 ダニを退治するため家の中、とくに寝室を徹底的に掃除し、こまめに窓を開けるなど風通しをよくしましょう。


花粉症(下)/冷水浴に体質改善効果

 花粉症をはじめとするアレルギー疾患が近年、たいへんな勢いで増えている問題について、私の大学の後輩で国立労働科学研究所の所長だった故小山内博博士がユニークな説を発表しました。それが副腎機能の退化説です。

 【怠けると退化】副腎は小さな器官ですが、体の恒常性を保つ重要なホルモンを出しています。これを副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)といいます。

 薬のステロイドは、リウマチや喘息(ぜんそく)などアレルギー性疾患には劇的に効きますが、長く使うと自分の体の副腎がすぐ退化してしまいます。ふだん副腎から出るホルモンの何十倍もの量を飲むのだから当然です。投薬を突然止めると虚脱状態になることは有名ですが、わずか数日の投薬で起こることもあります。長期服用者は数年がかりでステロイドから離脱しますが、生涯飲み続けないと生きられない場合もあります。ステロイドは皮膚科で乱用されており、塗り薬でも広い範囲に塗ると体に吸収されます。

 【暖房普及が原因か】副腎は夏の暑さ、冬の寒さなど物理的なストレスで鍛えられるのですが、現代人は便利な環境に甘えて副腎を怠けさせてきました。

近年は日本中が暖房の恩恵を受け、住居だけでなく通学・通勤・学校・職場などでも総じて暖房が完備されています。花粉症が増えた第一原因はこれだというのが小山内博士の説です。

 実は私もこの説を非常に高く評価しているのです。

 文明が発達して子どもが弱くなっています。今の子どもたちは、ほ乳類ではなく冷血動物だという話があります。朝の体温は三十五度前後、夜は三十七度前後になる。ほ乳類はホメオスタージス(恒常性)によって体温を維持しているはずなのですが。

 ロシアには生まれたばかりの赤ん坊を寒風にさらす風習があります。冷たい水につける民族もいます。日本でも昔の産婆さんは産湯を使ったあと、母親に分からないように(心配するため)、わざと時間をかけて赤ん坊の体を冷やしていました。丈夫な子にするための経験上の知恵だったのです。

 【アトピーを治す】小山内博士は、アレルギー体質を変えるためには冷水浴しかない、と強調しています。博士はアトピー性皮膚炎の乳児に冷水をかける実験で効果を証明しました。実際に非常に早くきれいに治ったのです。

 冷水摩擦や乾布摩擦でもよいでしょう。私は博士の講演を聞いた七十歳から、風呂で温まったあとに足から順に冷水をかけています。ぞくぞくしますが、つらくはありません。すぐぽかぽかとなります。冬はもう一度風呂に入って温まります。ただ、冬の水道水は冷たすぎるので、多少ぬるめていますが。


 ■ 体の仕組みを知る/自然治癒力こそ基本 (健やかあおもり 長寿のコツより) 

2008年7月1日 東奥日報特集 川上立太郎 健やかあおもり 長寿のコツ より


 私は今年九十六歳になります。医師になって約七十年、ずっと病院に勤務していましたから臨床医ですが、並行して企業の健康管理の仕事をしてきました。

一貫して患者さんのためだけを考えた医療ができたのは幸せなことと思っています。

 その経験から申しますと、人間の体には、寿命のある間はどんな病気になっても治ろうとする偉大な力が備わっています。自然治癒力です。どんな名医もこれがなくては病気を治すことはできません。薬や注射は自然治癒力を助けているだけなのです。与えられた寿命の中でいかに人生を充実させていくかは、本人の責任にかかっているということです。

 さらに、どんな病気にも原因があり、病気のきっかけとなる誘因があります。

大部分の病気は、原因か誘因のどちらかに精神的ストレスの問題があるようです。それを探し出すことが先決で、それを取り除いて治すのが原因療法です。

それを怠って、症状だけを取り除く対症療法はやむを得ず行うもので、いわば必要悪です。

 青森県の平均寿命は、残念ながら今のところ全国で最低です。これを返上するために大事なのは、病気になってから発見し治療するのではなく、自分自身の体の仕組みを知り、病気にならないよう予防のコツを実践していくことでしょう。特に青森県においては生活習慣病、具体的には高血圧と脳卒中の予防がまず大切なように思います。そのためには栄養の取り方にコツがあります。

 そして身体を活動させることも非常に大切です。人類は、狩猟をしていた四万年前から体の進化がとまっています。動くことで健康が保てるようにできている”動く生物“なのです。

 説明書を読まないで道具を使うと故障するように、人体もその仕組みを知って使っていかないと損です。また私の目から見て、現在の医療のあり方、国民の受療態度にも首をかしげざるを得ないことがあります。

 このコラムが、東奥日報の読者の方たちの長寿と健康のために役立つことを願っています。


 ■ 知ってますか?肝臓の気持ち

<狩野吉康(札幌厚生病院肝臓科・副院長)> (2012/01/11)北海道新聞より

上戸と下戸 分解酵素の作用、遺伝子が決定 

 忘年会、新年会と飲酒が続き、飲み過ぎてしまった人も多いのではないでしょうか。アルコールの飲み過ぎは肝臓に悪いことは誰もが知っていますが、なぜ悪いのでしょうか?

 飲んだアルコールの大部分は小腸から吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれます。アルコールは肝臓で主にアルコール脱水素酵素(ADH)によりアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)により無害な酢酸に変えられ、最終的には水と二酸化炭素になります。

 アセトアルデヒドは強い毒性があり、頭痛、吐き気、動悸(どうき)などをもたらします。アセトアルデヒドを分解するALDH2の作用の強さ(活性)は遺伝によって決まり、お酒の強い人は活性型、お酒の弱い人は低活性型、お酒の全く飲めない人は非活性型の遺伝子を持っています。

 大部分の欧米人が活性型のALDH2を持っているのに対して、日本人の約半分は低活性型か非活性型のALDH2しか持っていません。非活性型の人(5%程度、いわゆる下戸)はアルコールが飲めないので問題はないのですが、活性型あるいは低活性型の人は飲み過ぎにより、ALDH2が処理しきれないアセトアルデヒドが体にたまると肝細胞が脂肪化し、やがて肝臓が硬くなってきます。最悪の場合は肝硬変まで進行してしまいます。

 実はこの肝臓の障害は、男性より女性の方に起きやすいことが分かっています。女性の方がアルコールの代謝能力が低いためです。ご注意を。

 お酒の強い、いわゆる上戸の人には、アルコールを受け付けないという体質がなかなか理解できないかもしれませんが、お酒の席では下戸の人への気配りを忘れないでくださいね。


 ■ 「喫煙者は雇用しない」の是非は? 米論評
2013年4月3日 Medical Tribune

罰則より禁煙プログラムを

 禁煙の風潮が世界的に高まる中、米国などでは喫煙者を雇用しない会社も出てきた。日本でも一部企業の採用基準に影響しているといわれるが、米ペンシルベニア大学健康動機・行動経済学センターのHarald Schmidt氏らは、「喫煙者を雇用しないという方針は、社会的弱者が多い喫煙者をよりいっそう苦しめる結果につながる」との論評を、3月27日発行の米医学誌「New England Journal of Medicine」(電子版)に発表した。同氏らは、雇用者が禁煙プログラムなどで喫煙者を支援するよう提案している。


自力禁煙は成功率5%未満

 米国では現在、全50州のうち29州で喫煙習慣を理由に雇用を見送ることを禁じている。言い換えると、その他の州では、雇用の際に喫煙習慣の有無を判断材料とすることに規制はない。Schmidt氏らによると、昨年の調査では、米国人の65%が同制度に反対している一方、クリーブランド・クリニックなど医療・健康関連の機関だけでなく、アラスカ航空といった健康とは直接関係のない企業でも、喫煙者の雇用を控えているという。

 喫煙者の雇用に反対する側は「医療保険料の増加や生産性の低下などにより、非喫煙者と比べて喫煙者1人当たり年間4,000ドル(約37万円)のコスト増が見込まれる」などと主張している。

 しかし、Schmidt氏らは、喫煙者の約9割が、社会的に責任を果たせるとされる18歳になる前から喫煙を開始していることや、約7割が喫煙をやめたいと感じているにもかかわらず、自発的に禁煙に取り組んでも成功するのは5%に満たないことを挙げ、「喫煙者個人でコントロールできる問題ではない」と述べている。

 また、喫煙者の多くが失業者や低学歴、貧困の基準値を下回るなどの社会的弱者であることから、「喫煙者を雇用しないという方針は、これらの境遇にある喫煙者をよりいっそう苦しめる結果につながる」としている。


●「雇用者の義務を怠る行為」

 では、これらの問題を解決するためにはどうしたらよいのか。

 米国では、雇用者には医学研究所(IOM)によって定められた「人々を健康にすることで社会に利益をもたらす義務」が課せられている。Schmidt氏らは「非喫煙者を優先的に採用するということは、この義務を怠り、社会的弱者をさらに好ましくない状況に追いやることだ」と指摘し、解決策として「禁煙プログラムなど建設的な方法で喫煙者を支援することが最も効果的であり、これらの支援によって雇用者に支えられていると感じた社員はより生産的になり、両者にとって有益な結果が得られるのではないか」と提案している。 (編集部)

 ■ 化学物質ビスフェノールAが小児ぜんそくの引き金に―米研究
2013年4月1日 Medical Tribune

ビスフェノールA、食品容器などに使われている
 がんや心臓病などとの関連が示されている化学物質「ビスフェノールA」。食品の容器などに広く使われているが、これにさらされることによって小児ぜんそくにかかるリスクが1.5倍程度に上昇すると、米コロンビア大学公衆衛生学部のKathleen M. Donohue氏らが、米医学誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」3月号(2013; 131: 736-742)に報告した。


7歳時で1.7倍

 ビスフェノールAはプラスチックの原料で、自動車やOA機器のほか、哺乳瓶や缶詰の内側など食品容器にも広く使われている。缶詰のスープを食べた人では、調理したスープを食べた人の20倍以上多かったという報告もある(関連記事)。マウスを使った実験では、ビスフェノールAがアレルギー性炎症を増加させる可能性が示唆されているという。

 Donohue氏らは今回、妊娠後期の女性568人と、その子供の3歳、5歳、7歳時に尿中のビスフェノールA濃度を測定。5〜7歳時に過去12カ月間の喘鳴(ぜんめい)の有無と、5〜12歳時のぜんそくの有無を調べた。

 その結果、3歳時の尿中ビスフェノール濃度が高いほど、喘鳴が認められる割合が高くなり、5歳時と6歳時でともに1.4倍だった。また、7歳時の尿中ビスフェノールA濃度が高いと、7歳時の喘鳴リスクが1.4倍なっていた。

 尿中ビスフェノールA濃度が高いとぜんそくリスクも高まり、3歳時で1.5倍、5歳時で1.4倍、7歳時で1.5倍。さらに、吐いた息から検出される一酸化窒素の濃度も、7歳時の尿中ビスフェノールA濃度が高いと上昇していた。

 なお、ビスフェノールAはカナダで有害物質に指定されているものの、日本では規格値(2.5ppm)と同程度ならば「成人への影響はないものと考えられる」とされている。

 ■ 乳製品多く食べる人で子宮内膜症リスク低下―米研究
2013年4月1日 Medical Tribune

ビタミンD値が高い人も

 月経痛や下腹部痛、不正出血などを引き起こし、不妊の原因ともなる子宮内膜症。成人女性の10人に1〜2人の割合で発症するといわれているが、乳製品を多く取っている女性は子宮内膜症になるリスクが低いとの研究結果を、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のHolly R. Harris氏らが、3月1日発行の米医学誌「American Journal of Epidemiology」(2013; 177: 420-430)に発表した。血液中のビタミンDの濃度が高い女性でも、同じようにリスクの低下が見られたという。


1日3杯で2杯の18%減

 子宮内膜症は、子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、卵巣など子宮以外の場所で増える病気。通常は月経のときに子宮内膜も剥がれて外に出されるが、子宮以外の場所では排出できず、その場にたまって炎症などを引き起こす。原因はよく分かっていない。

 Harris氏らは、米国の女性看護師を対象にした研究の参加者7万556人について、乳製品の摂取と血液中のビタミンD濃度を調べ、子宮内膜症との関係を検討した。1991〜2005年の14年間追跡し、子宮内膜症と診断されたのは1,385人だった。

 解析の結果、乳製品を多く摂取することは子宮内膜症リスクの低下と関係しており、乳製品を1日3人前食べる人は2人前の人と比べ、子宮内膜症と診断される割合が18%少なかった。一方、ビタミンD濃度によって5つのグループに分けたところ、最も高いグループの人は、最も低いグループの人と比べて子宮内膜症リスクが24%低かった。

 ■ 黄砂、花粉、PM2・5「三重苦」 対策は?
 大気汚染が深刻な中国から飛来したとみられる微小粒子状物質(PM2・5)の濃度が、鳥取県内でも環境省の専門家会合がまとめた暫定指針(1立方メートルあたり1日平均70マイクロ・グラム以上)に近い値を観測している。

 この時期、黄砂や花粉の季節が重なっており、PM2・5が飛来することで「三重苦」とも言われている。黄砂が人体に及ぼす影響を研究している鳥取大医学部の大西一成助教(公衆衛生学)に対策などを聞いた。

 ――PM2・5の飛来が問題になっています。

 PM2・5とは、大きさが2・5マイクロ・メートル以下の微小粒子状物質の総称で、ばい煙や車の排ガスなど大気汚染物質のほか、花粉の抗原や黄砂なども含まれます。健康に影響するのはPM2・5など汚染由来成分や黄砂など土壌由来、花粉など生物由来のものがあります。PM2・5の値が上昇しているのは、中国の大気汚染の影響だけではなく、県内の排ガスなどや、最近は黄砂も含んでいるからです。

 ――人体に影響が出るのはどうしてですか?

 体内に異物が入ったり、触れたりすると、異物を排除しようと反応が起こり、せきや涙、目の充血、鼻水、くしゃみ、肌のかゆみなどの症状が出ます。花粉などではすぐに症状が出ますが、黄砂など飛んで来てから2〜4日後に反応する場合もあります。60歳を過ぎて発症する人もいるので、今は症状がなくても大丈夫とは言えないと思います。

 ――症状は個人差があるようですね。

 一般的に既往症がある方は重症化する恐れがあるので、注意が必要と言われています。ぜんそくがひどくなり、呼吸困難に陥ることも考えられますが、マスクなどで重症化を抑えられます。普段は健康でも、くしゃみやせきなどの自覚症状やアレルギー反応が起きる場合もあります。健康に影響を及ぼすものはPM2・5だけではありませんが、観測データが公表されているので、花粉や黄砂でも、どの程度の値で症状が出るか、自分の目安を知れば、予防に生かせる場合もあります。

 ――対策はありますか?

 黄砂などに直接さらされる状態を避けることです。何がいつどこに飛来するか予測し、マスクやうがい、手洗いのほか、家庭内では空気清浄機を活用し、被害を最小限にするのが大切です。マスクの間に軽く湿らせたガーゼを入れたり、静電気で付着しやすい毛羽立った服ではなく、花粉などを落としやすい表面がつるつるした素材のものを着たりするのも有効です。

 ――黄砂の発生源から調査し、健康への影響を調べておられますね。

 モンゴルなどにも調査に行き、発生源の状況を知ることで、具体的な影響を考えられるようになりました。今も毎日、米航空宇宙局(NASA)などが発表する衛星写真を基にして、研究に生かしています。黄砂の研究は環境と医学の融合で、将来は黄砂予報を出せるようになれたらと思っています。(加藤あかね)

 ◇メモ 鳥取市出身。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科でアレルギー・免疫学、細胞生理学の研究を経て、鳥取大医学部大学院医学系研究科で2008年から、黄砂の健康影響調査を本格的に始める。10年から同大学助教。子どもの頃からアレルギー性鼻炎で「空気にもやがかかった日に風邪にかかる」という体験をしたのが、黄砂研究を始めたきっかけになった。健康影響調査の協力者も募集している。アンケートサイト(http://ec.mycms.jp/survey/)の「webからの参加申込をおこなう」を選び、登録作業を行う。

(2013年3月14日 読売新聞)


 ■ 痛み 私の物語「絶食療法」ストレス解消 …作家・夏樹静子さん
 作家の夏樹静子さん(71)の腰痛は、病院でMRI(磁気共鳴画像)検査などを受けても原因はさっぱりわからないまま、約2年が過ぎた。1995年夏、夫の知り合いから紹介されたのが、心療内科医の平木英人さん(現平木クリニック院長=東京・葛飾区)だ。

 心療内科は、心理的な要因と身体症状は不可分との考えから、病気や体の不調を心身両面から診る。平木さんは「痛みとストレスは密接に関係する。ストレスや不安を感じている人は、腰痛になりやすいという米国の研究もある」と話す。

 平木さんはまず、症状が出始めたころの仕事や生活ぶりについて、夏樹さんからじっくり話を聞いた。

 作家として70年代からヒット作を生み続けてきた夏樹さん。腰痛を発症したころは、若年性認知症をテーマにした小説や女優の伝記を手がけるなど、新境地を開こうとしていた。

 慣れないテーマの執筆がストレスになり、腰痛を引き起こしたのではないかと、平木さんは診断。夏樹さんは当初、「仕事は楽しいし、ストレスで激しい痛みが出るわけがない」と納得はしなかったが、平木さんの勧めで、入院し、絶食療法を試してみることになった。

 脳への栄養補給を一時的に変えることで、ストレスに対する脳の感じ方を変えようというのが、絶食療法の狙いという。

 「もう帰る」。絶食を始めて2日目。治まる気配を見せない痛みに、夏樹さんは、平木さんに猛然と抗議。だがその瞬間、痛みが薄らいでいることに、はっとした。「腰に集中していた意識が、どこかにいったのでしょう」と平木さん。その後も、痛みは出たり消えたりを繰り返したが、12日間の絶食を含めた2か月の入院を終えた時には、すっかりなくなっていた。

 痛み治療を専門とするペインクリニック科でも近年、カウンセリングなどの心理療法は、治療の重要な柱のひとつになっている。

 夏樹さんは「『いすに座れない』と自分で思い込んだことが、すべての原因だと思っています」と、腰痛に苦しんだ日々を振り返る。

 「今は、仕事に追われることのないよう心にゆとりを持って、書きたいテーマにじっくり取り組むことを心がけています」。書斎のいすにゆったりと腰掛け、原稿用紙に向かう毎日だ。(中島久美子、利根川昌紀)

(2010年1月13日 読売新聞)


 ■ 健康への指標 肥満を防ぐ=1 …作曲家・小林亜星さん
 21世紀まで生きたい 必死の思いして減量

 「太っていて何が悪い」。テレビドラマ「寺内貫太郎一家」に主演、一躍お茶の間でも人気者になった作曲家、小林亜星さん(61)。昭和四十九年当時、身長百六十九センチ、体重百十五キロ。自らの巨体に、開き直った気持ちだった。

体重115キロに開き直り

 昭和一ケタだけに子供のころは食べるに事欠き、高校時代まではかなりやせていた。病気がちで、「太りたくて仕方なかった」。

 二十代で歌謡曲をアレンジする編曲の仕事を始め、生活ががらりと変わった。徹夜の連続で、夜中に冷蔵庫にあるものを手当たり次第に食べる。外食では肉料理を何皿もたいらげ、一晩でウイスキーのボトルを空ける。体重はどんどん増えた。

 「遠山の金さんや大石内蔵助がやせていたら芝居にならない。政治家だって、チャーチル、ドゴール、吉田茂……、歴史に残る人はみんな太ってた」。そう笑い飛ばし、太めの有名人らが集まった「大日本肥満者連盟(大ピ連)」の会長も務めた。

 転機になったのは、八年前に初めて受けた人間ドック。コレステロール、血糖などに異常はなかったが、病名の欄に「肥満」とあった。

 「肥満て病気なんですか」。驚いて尋ねると、「立派な病気。このままでは成人病を起こし、十年後の命は保証できません」という医師の冷厳な言葉が返って来た。

 ショックだった。「二十一世紀までは死にたくない」。そんな気持ちからダイエットが始まった。

 耳にはりを打つ、体にワックスを塗る、ホルモン剤を飲む。あらゆる方法を試したが効果はなし。油分を制限する食事で数キロ落とすのがせいぜいだった。

5年余りで38キロ減らす

 「カロリー計算をしないと減量できない」。こう気付いて、妻早苗さん(56)の協力で一日の摂取量を千六百キロ・カロリーと決めた。

 野菜や魚、乳製品などはバランスよくとるが、ごはんは軽く一ぜんだけ。「腹が減って死にそう」なのを必死に我慢。一か月で慣れてきた。

 好きなアルコールもやめ、酒席ではウーロン茶。五年余りで七十七キロに減量した。

「マイナス三十八キロ。以前は浅丘ルリ子さんをおなかに巻いて歩いていたようなものだった。そりゃ重いに決まってる」

 ただ、ダイエット中に「小林さんは、がん」と陰で言われたことがある。「運動しないと体が弱り、顔もやつれたからでは」。そう考え、毎朝十五分の体操、一時間の散歩を日課にした。「やせてから歩くのが楽しくなった」

 「減量して性格まで変わったようだ。太っていた時に作った曲は繊細さに欠けるが、最近は細やかでセンチメンタルになった気がする」と自己分析する。

 現在も毎朝、体重計に乗り、腹八分目を心がける。血圧、血糖値なども正常。それでも外食が続くと八十キロをオーバーしてしまい、早く元に戻すよう努める。

 以前は外食で店の人に「まだ食べるんですか」と言われたくらいなのに、今は「冷ややっこで冷たいビールを少しやるのが最高の楽しみ」。それでも、食べても太らない人を見ると「人生の楽しみの半分を手に入れたようなもの」とうらやむこともある。

 「二十一世紀になったら、元日に初日の出を見る船を出し、酒池肉林の大騒ぎをしたい」。そんな夢も、節制を続ける源だそうだ。 

(1994年2月19日 読売新聞)


 ■ 「睡眠に問題を抱えている」日本人は約7割!?
 日本人の約7割が睡眠に問題を抱えていて、体内時計の乱れにつながるライフスタイルが「現代型不眠」をもたらしている可能性がある――。日本人のライフスタイルと睡眠について、興味深い意識調査が発表されました。
体内時計の乱れが「現代型不眠」をもたらす

 体内時計を乱さない睡眠を実践しよう!
健康な体を作り、維持するうえでも、睡眠は必要不可欠なものです。しかし、その睡眠に関して、日本人の約7割が何らかの問題を抱えており、その多くが体内時計を乱しやすい生活環境やライフスタイルが「現代型不眠」をもたらしている可能性があるということが、武田薬品工業株式会社が20〜60代の全国の男女計6,000名を対象に実施した「ライフスタイルと睡眠に関する意識調査」で判明しました。

 「現代型不眠」とは、昼も夜もなく動き続ける現代社会における生活環境やライフスタイルにより、体内時計の乱れによってもたらされる不眠のことをいい、体内時計が乱れ、現代型不眠が進むと、生活習慣病の発症や悪化にも影響を与えることがわかってきています。

 寝る前のネット利用が睡眠に問題を抱える原因に!?
同調査では、睡眠に問題を抱えている人にライフスタイルについて尋ねてみたところ、「寝る直前や深夜にテレビを見たりパソコンを利用」(67.4%)、「運動習慣がない」(55.2%)、「平日と休日で2時間以上起床時間が異なる」(38.3%)と、体内時計の乱れを促すとされる生活習慣について、「はい」と回答する割合が高いことが明らかになりました。

 また、「日付が変わる前に布団に入らない(入れない)」(30.0%)、「朝、日光をほとんど浴びない」(16.5%)といった人も一定の割合で見られました。

 さらに、睡眠に問題を抱えている人には体調不良を訴えている人が多く、「目の疲れ」(67.0%)、「肩こり」(62.5%)、「疲れ」(58.8%)、「体のだるさ」(53.4%)、「腰痛」(51.0%)が50%を超えています。とりわけ「疲れ」「体のだるさ」などについては、睡眠に問題を抱えていないと答えた人と比べ、2倍以上多いという結果が出ました。

 「体内時計」を意識した生活を送ろう!
同調査では、睡眠に問題を抱えていると答えた人に対し、「『体内時計』という言葉を聞いたことがありますか」と尋ねてみたところ、8割以上の人が「聞いたことがある」と答えています。

 しかしその一方で、「『体内時計』について意識していますか」という質問に、「意識している」「やや意識している」と答えた人は3割弱にとどまっています。また、睡眠に問題を抱えている人に対し、その対処方法について尋ねたところ、「特に何もしていない」と答えた人が約6割であることがわかりました。

 今回の調査結果を踏まえ、武田薬品工業は、現代型不眠と体内時計について考えるサイト「体内時計.jp」をオープンしました。「体内時計.jp」では、「現代型不眠とは?」「体内時計と睡眠のしくみ」「体内時計の乱れと生活習慣病」「よりよい眠りのためのQ&A」「体内時計の乱れと関連疾患の治療」「体内時計を整える12カ条」など、現代型不眠の改善に向けたコンテンツを紹介しています。当サイトでは、現代型不眠についてセルフチェックができますので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

体内時計.jp

ALL ABOUT健康 編集部

 ■ 花粉の季節、睡眠不足が『負のスパイラル』状態をを招く?
 「花粉の季節は、睡眠障害になったり、睡眠障害が悪化される方が少なくありません」と、坪田さん。その原因のひとつとして考えられるのが、鼻のつまりです。
「鼻がつまっていると、どうしても『口呼吸』になりがちです。口呼吸では、舌がのどの奥に落ち込んで気道をふさぐことがありますから、身体が酸素を求めて目覚めようとしてしまいます。その結果、眠りが浅くなり、熟睡感を得られなくなってしまうのです」(坪田さん)。
ちなみに、いびきの主な原因も口呼吸のため、花粉の季節はいびきがひどくなったと感じる方も多いのだとか。

鼻のつまりなどが原因で、夜、睡眠をしっかり取れないと、心身の疲労が抜けず、体力がなかなか回復しません。さらに、日中に眠気に襲われやすくなり、集中力がダウン。仕事や勉強などの能率が著しく低下しかねませんから、社会人や受験生にとってはかなり深刻です。

 「花粉症というのは花粉に対するアレルギーであり、免疫異常により引き起こされるものです。睡眠は免疫力を高める効果があるとされていますから、そういう意味でも睡眠不足はマイナス。その上、熟睡できないストレスが免疫異常を悪化させ、症状を長引かせる可能性もあります。つまり、花粉症で睡眠不足になり、睡眠不足がさらに花粉症を悪化させるケースも考えられるわけです」(坪田さん)。
花粉の季節、まさに睡眠不足が『負のスパイラル』を招くといえそうです。
鼻のつまりなどが原因で睡眠不足になると、疲れがなかなか取れず、仕事や勉強の能率もダウン。負のスパイラルに陥ってしまいます。


■規則正しい生活が、負のスパイラルを断ち切るポイント

 では、花粉の季節にも良質な睡眠を得るためにはどうすればいいのでしょうか?
ポイントのひとつは「寝室環境」だと、坪田さんは言います。
「まず、寝室に花粉を持ち込まないようにすることが大事です。外出先から戻ったら、入浴して着替えるまで寝室には入らないというのもひとつの手。室内をこまめに掃除するのはもちろん、布団の表面も掃除機で吸いとるようにしましょう」(坪田さん)。
最近は、花粉が付着しにくい寝具や、花粉などの微粒子を除去する布団乾燥機もありますから、そういうアイテムを活用するのもアリだとか。

 また、寝るときの姿勢もひとつのポイントで、坪田さんによると、横向きが望ましいとのこと。
「横向きであれば、もし、鼻のつまりから口呼吸になっても、重力の関係で舌がのどに落ち込みにくく、比較的呼吸が楽にできます。鼻のつまり自体には、鼻の空気の通り道を広げる、専用テープを利用してもいいでしょう。ある程度鼻が通りやすくなり、鼻呼吸がしやすくなります」。

 これらのポイントに加えて、大切なのは「できる限り規則正しい生活を送ること」(坪田さん)なのだそうです。
「普段より1時間早く布団に入ったり、しなければならないことの優先順位を付けて、ムダに夜更かしすることがないようにしたり。睡眠で自分の体力が回復するように、自ら心がけて行動することが、花粉の季節を快適に過ごすための何よりものポイントかもしれません」。
寝室に花粉を持ち込まないようにこまめに掃除。また、横向きに寝ることでも快眠を得やすくなります。


■鼻のつまりで苦しいときの「鼻呼吸」をサポート

 鼻のつまりで寝苦しく、良く眠れないときに、「鼻呼吸」をサポートしてくれるのが、鼻孔拡張テープ「ブリーズライト」です。データによると、使用した人の約90%が、貼った瞬間、鼻の通りの良さを実感したとか(※グラクソ・スミスクライン社調べ)。薬剤不使用で、鼻に貼るだけで、鼻の通りをサポート。テープタイプで、誰でも手軽に貼れる点も魅力です。

 実は、「鼻呼吸」は人間本来の呼吸法でもあります。空気が鼻を通ることで温められ、適度な湿り気を帯びて肺に取り込まれるため、熟睡しやすくなるのです。疲れた身体を良質な睡眠でしっかり休めることができれば、うれしいですね。
ALL ABOUT健康 編集部

 ■ まさか!寿司1人前はハンバーガー+フライドポテトよりも高カロリー?―英国
レコードチャイナ:2013年3月13日

 2013年3月12日、ヘルシーかつおいしい食べ物として世界的に人気の寿司。しかし、このほどある英国人専門家が「寿司は思ったほど健康的な食品ではない」と論じ、場合によってはファストフードのハンバーガーを超えるカロリーを含んでいるとした。中国紙・環球時報の報道。

 11日付英紙デイリー・メールによると、英国では過去2年の間に、寿司の売り上げは88%も増加し、年間5600万ポンド分(約80億円)もの寿司が国民の胃袋に飲み込まれていっている。その高級感や健康志向のイメージからか、とくにセレブ層には人気だ。しかし、英国のある栄養学の専門家は最新著書で、「1食分の寿司はカロリーや炭水化物の摂取過多となる場合がある」と紹介している。
 同書では、“一般的な巻き寿司”1本のカロリーは290〜350キロカロリーとしている。これはパンであれば2切れ半〜4切れ分に相当する。カリフォルニアロールならサンドイッチ2個分、そのような巻き物が2〜3個含まれたランチセットの寿司1人前であれば、そのカロリーは1000キロカロリーを超えるという計算だ。これは600キロカロリー近いビッグサイズのハンバーガーにフレンチフライをプラスしたのと変わらない。

12日、ヘルシーかつおいしい食べ物として世界的に人気の寿司。しかし、このほどある英国人専門家が「寿司は思ったほど健康的な食品ではない」と論じ、場合によってはファストフードのハンバーガーを超えるカロリーを含んでいるとした。

 記事では、欧米風の巻き寿司にはチーズやマヨネーズなどが含まれていることが多いので、結果的にカロリーは高くなると言っているが、いわゆる日本人が想像するような“一般的な巻き寿司”と、少々かけ離れたものを想定している可能性もある。(翻訳・編集/愛玉)

 ■ ネコ肉、犬肉に比べれば大したことない! 欧州の馬肉騒動へのコメント―中国メディア
レコードチャイナ:2013年2月24日

 2013年2月23日、中国新聞網は記事「英国の“馬肉混入事件”が拡大=華人には基本的に影響なし」を掲載した。

 英スーパーで販売されていた牛肉加工食品に馬肉が混入していた問題が波紋を広げている。英国では数十もの製品から馬肉混入が見つかったほか、フランス、スウェーデン、オランダなど欧州連合(EU)の16カ国でも馬肉混入が確認された。英テレビ局が実施したアンケートでは58%が加工された肉は購入しない、3分の1がスーパーで安価な肉製品は買わないと回答している。

 一方、英華字紙・華聞週刊によると、華人には大きな影響はないという。もともと華人は自炊する人が多く、加工肉の影響は少ない。また「健康に問題がないなら馬肉を食べてもいい」との声もあった。取材に答えたある男性は「ネコ肉も犬肉も、センザンコウの肉も食べたことがあるんで、馬肉ぐらいどうということないですよ。

23日、中国新聞網は記事「英国の“馬肉混入事件”が拡大=華人には基本的に影響なし」を掲載した。ある英国在住の華人男性は「ネコ肉も食べたことがあるんで馬肉ぐらい」と回答している。写真は英国のスーパー。
 それに中国だと馬肉のほうが牛肉より高いですしね」とコメントしている。(翻訳・編集/KT)

 ■ <体のフシギ>チーズは糖尿病リスクを減らす―米誌
レコードチャイナ:2012年9月17日

 2012年9月14日、人民網日本語版によると、糖尿病患者に限らず、多くの人が飽和脂肪酸が多く含まれるチーズの食べ過ぎには気をつけているだろう。しかし、米国臨床栄養学会誌(The American Journal of Clinical Nutrition)に掲載された英国とオランダの研究者による最新の共同研究論文では、チーズを頻繁に食べると、2型糖尿病の発生リスクが低下するという調査結果が紹介されている。中国の健康紙・生命時報が英紙デイリー・メールの記事を引用して伝えた。

 脂肪を多く含む食品の過剰摂取はさまざまな健康リスクを高めると昔から言われてきた。しかし、牛乳、バター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品が健康リスクに及ぼす影響については、ずっと謎に包まれていた。英国とオランダの研究者がこのほど完成させた研究報告では、欧州8カ国に住む健康な成人1万6800人と2型糖尿病患者1万2400人に対して調査研究が行われた。この大がかりな研究の結果、毎日55グラム以上のチーズ(約2切れ)を食べると、肥満と関係が深い2型糖尿病の発生リスクが約12%低下するという事実が判明した。

14日、チーズを頻繁に食べると2型糖尿病の発生リスクが低下するという調査結果が米誌に紹介されている。
 その他の乳製品については、ヨーグルトを除き、チーズが持つ糖尿病リスクを低下させる効果は見られなかった。
研究者は、チーズが2型糖尿病発生リスクを低下させる原因として、チーズの発酵過程で、2型糖尿病や心臓病に対する防御反応を強める物質が生まれるのでないかと見ている。チーズに含まれるプロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物)がコレステロールを下げ、糖尿病の予防に有効なある種のビタミンも生み出されるという見方がある。また、チーズ、牛乳、ヨーグルトには、ビタミンD、カルシウム、マグネシウムなど、糖尿病予防に有効な成分が豊富に含まれている。

 英国糖尿病協会のイアン・フレイム博士は「糖尿病患者がチーズを摂る場合は、血糖値レベルに注意しなければならない。必要に応じインスリン分泌促進薬を服用するほか、野菜や果物を多く食べ、塩分・脂肪分を控えるなど食事バランスに気を配る必要がある」と注意を促している。(編集/TF)

 ■ ホワイトハウス犬「ボー」が中国産ペットフードに「ノー」、米国で規制の声高まる―米紙
レコードチャイナ:2012年8月10日

 2012年8月7日、米華字メディア・多維新聞によると、米国で中国産ペットフードの安全性が疑問視されており、早急に関連法制度を整備すべきだという声が上がっている。

 米紙ワシントン・ポストによると、中国産食品の安全性に対し批判が高まるなか、オバマ大統領の愛犬ボーが意外なところで注目を浴びている。米非営利団体フード&ウォーター・ウォッチは先ごろ、輸入食品に対するより厳格な法案を求める記事を発表した。同団体は記事内でホワイトハウスで飼われている犬の「ボー」を引き合いに出し、「もし大統領の犬が、安全かどうか分からない中国産鶏肉を食べているとしたら、同じ制度の下にいるわれわれが健康を確保できるだろうか」と訴えている。

 米食品医薬品局(FDA)は鶏肉を原料とする中国産のドッグフードによりペットの犬が病気になったり、ひどい場合は死亡する可能性があると警告した。

7日、中国産ペットフードは安全性に疑いがあり、規制するべきだという声が米国で上がっている。
中国の家禽類は伝染性ウイルスを保持している可能性が高いにもかかわらず、今のところ中国産ペットフードを規制する制度はないという。こうしたなか、米国に輸入された中国産ドッグフードは2003〜2011年で85倍に増えた。

 上述の非営利団体フード&ウォーター・ウォッチは「食品の安全制度が確立されるまでは、ペットフードいかんにかかわらず中国産食品は輸入を禁止すべきだ」としている。(翻訳・編集/YM)

 ■ <食の安全>国際基準採用はわずか2割、事件起こすのは業界大手ばかり―中国
レコードチャイナ:2011年11月24日

 2011年11月23日、中国の大手冷凍食品メーカーの製品から食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」が相次いで検出された問題を受け、中国紙・経済参考報は食の安全基準の現状について、「国際基準を採用している割合はわずか2割」だとして問題提起した。

 記事によると、中国の食の安全基準が国際基準や海外の先進基準を採用している割合はわずか23%。例えば、農薬の残留基準は米国の数倍も緩く、健康に有害なトランス脂肪酸を生成する植物性油脂に対する規制は全くない。牛乳1ミリリットル当たりに含まれる細菌の許容限界値も国際基準を大きく超えている。冷凍食品についても、現行の安全基準では黄色ブドウ球菌は検出されるだけで「アウト」だが、これが間もなく検体1グラム当たり1000〜10000に改正される見通しだ。
 「メラミン入り粉ミルク」の三鹿集団、「痩肉精(塩酸クレンブテロール)」の双匯集団、そして今回「黄色ブドウ球菌」が検出された三全食品や思念食品はいずれも業界大手の優良企業だった。

23日、大手冷凍食品メーカーの製品から「黄色ブドウ球菌」が相次いで検出された問題を受け、中国紙は食の安全基準の現状について、「国際基準を採用している割合はわずか2割」だとして問題提起した。写真は黄色ブドウ球菌が検出された三全食品の生産ライン。
 今年5月に施行された「刑法修正案(八)」では死亡事件を起こした食品業者に死刑が適用できるようになったが、記事は食の安全を守る体制のさらなる強化を訴えている。(翻訳・編集/NN)

 ■ <一人っ子政策>中国女性は双子を産むために薬を飲んでいる―米メディア
レコードチャイナ:2011年8月6日

 2011年8月3日、米ABCテレビのウェブサイトは「中国の女性は薬を使って双子を妊娠している」と題した記事で、中国の南方都市で排卵誘発剤を使い、多胎妊娠する女性が増えていると報じた。4日付で環球網が伝えた。以下はその内容。

 中国の南方都市の一部で薬を服用して1度に複数の赤ちゃんを妊娠する女性が増えている、と中国メディアが報じていた。これは新たな「一人っ子政策」への対抗策だ。広州日報の調査によると、広東省の個人病院では妊娠を望む健康な女性に不妊治療薬を提供している。排卵機能を刺激し、双子や3つ子を妊娠しやすくするというものである。

 「多子丸」と呼ばれるこの薬は一種の内服薬で、20〜30%の妊婦がこうした薬物を服用して多胎出産していた。だが、服用の仕方を誤ると重大な副作用を引き起こす、と懸念を示す医師もいる。中国政府は多胎児の出生頻度に関する統計をとっていないが、広州のある病院では1600人の妊婦のうち、24人が多胎出産していた。多胎率は1.5%である。

3日、米メディアは「中国の女性は薬を使って双子を妊娠している」と題した記事で、中国の南方都市で排卵誘発剤を使い、多胎妊娠する女性が増えていると報じた。写真は河南省で出回っている排卵誘発剤。

中国メディアはこれを「自然界の法則をはるかに超えている」と指摘しているが、自然妊娠での多胎率が1.1%に対し、1.5%であればそれほど高くはない。それに比べ、米国の2008年の多胎出生率は3.25%という高さだった。これは米国人が不妊治療のための薬物を大量に服用していることと無関係ではない。

「一人っ子政策」は中国の男女比のバランスを大きく崩したが、最近は社会の年齢構成にも大きな注目が集まっている。このままいけば近い将来、高齢者の数が現役世代を上回ることになるからだ。ただ、「多子丸」のような薬を使って多胎出産しようと考えているのは中国でもごく一部のようで、ある病院の待合室にいた女性に聞いてみると「冗談でしょう?母体にも子どもにも良いわけがない」という答えが返ってきた。(翻訳・編集/NN)

 ■ 楊貴妃や孫悟空も食べた不思議な桃の話

 中国山東省の済南市で食べた不思議な形の桃・蟠桃を紹介します。

第一印象は、何だ、この形の悪い桃は、というマイナーなイメージ。
写真のものは比較的に整っているドーナツ型だが、こんな形の良いものは少なく、不恰好なものの方が多い。

しかし食べて見て驚いた。その美味なこと。食感はねっとりとしたもちもち感があり、果肉は柔らか過ぎる位ですが、なかなか食べ応えがあります。
味わいも酸味と甘味のバランスが良く、濃厚で、まさに美味と感じる特別な桃です。この桃にはいくつも伝説があります。

蟠桃
路上で売っている様子

【楊貴妃伝説】
蟠桃をこよなく愛した楊貴妃は・・
宮廷の果樹園でこの蟠桃を栽培させていたということです。
あまりの美味しさに、他のものが勝手に食すると、死罪にされたと言い伝えられているほどで、楊貴妃は、不老長寿、美に欠かせない食材のひとつとして執着していたのかもしれません。

【西遊記伝説】
西遊記にも登場したこの蟠桃・・・ 仙術も会得した孫悟空は、天界の一員となりやがて、果樹園の管理人に任じられたそうです。 その果樹園には桃の木が3600本植えられており、 手前の1200本は3000年に一度実をつけ、それを食べると仙人になれ、 真ん中の1200本は6000年に一度実をつけ、それを食べると不老不死になり、 一番奥の1200本は9000年に一度実をつけ、 それを食べると天地があらんかぎり生き長らえる・・・。とされていたようです。 孫悟空と猪八戒が、この9000年に一度実をつけるという大切な桃を勝手に食べてしまい、八卦炉に封じられ、焼き殺されそうになりますが耐え抜き、体が鍛えられたが煙に弱くなった・・・ということです。 この後三蔵法師のお供をして天竺に行ったのです


 私は以前、仕事で毎年夏に中国山東省の済南市に一ヶ月位滞在する仕事をしていました。ここに行く時に一番の楽しみは、この蟠桃を食べること。初めて蟠桃に出会った時の第一印象は、『なんて見てくれの悪い桃なんだ、形が悪過ぎて選果ではじかれて、こんな路上で売っているんだな』、と勝手に決め付けていました。しかし薦められて食べてみてびっくり。こんなに美味な桃が何で正規に流通していないんだ、と逆に訝りました。現地のスタッフに聞いたところ、生産量が少な過ぎて正規の流通ルートには乗せられず、栽培農家が収穫したものを期間中だけ、直接路上で販売しているんだよ。と教えてもらい、納得。以来この桃の大ファンになり、毎年夏に山東省に行くのがとても楽しみになりました。日本に帰ってから調べて見ると、この桃は日本でも限られた農家が生産していて、やはり一度この桃を食べた人がみんなファンになっているらしいと聞きました。
更に気に入っている点は、普通の桃よりも厚さがないので、かぶりついても頬が汚れないので食べやすいです。もし運良く、この桃を見つけたら、絶対に買って食べて見てください。本当にお勧めです。

 ■ 余談(中国編)
【余談 その1】
余談ですが、夏の山東省は他にも色々と面白いものがあり、私は大好きです。
当地には、やはり生産量が少なく殆ど流通していない小型の白桃があります。Mサイズの温州みかん位の大きさで、熟しても白鳳や大久保の様にピンクにならない品種ですが、香りが強くて美味しい桃です。栽培されている地域は有名な少林寺の付近です。

【余談 その2】
桃は7〜8月ですが、6月頃にやはり山東省の山東半島の先端部、煙台や威海周辺と対岸の大連周辺でサクランボが実ります。ここの農園周辺の路上では日本から移植したナポレオンが信じられない価格で売られています。1キログラム数百円で買えますので、その季節に当地に行ったら是非ナポレオンを腹一杯食べてくださいね。

【余談 その3】
更に、煙台の隣の町、青島(チンタオ)では7月には有名なチンタオビール社主催のビール祭りが開かれ、ビールが無料で飲み放題になりますので、ビール好きの方は是非足を運んでください。

【余談 その4】
夏の山東省の食材でポピュラーなのは昆虫食です。
日本では、いわゆるゲテモノですが、試して見る価値は十分にあります。
セミの幼虫、カブトムシの幼虫、翅を切った蛾、イナゴ、ハチの子、そして極めつけはサソリです。
全て唐揚げにしていて、先入観を捨てることさえできれば、それぞれ美味しい珍味です。カブトムシ、蛾は少し砂糖をまぶしていて食べやすくしてあり、サソリは、味は川エビの唐揚げに似ていて美味です。聞くと養殖しているサソリで、毒は弱く改良されているが刺されると人が死ぬ位の毒はまだ持っているとのことですが、中温の油でしっかり揚げると毒成分は消えるとのことでした。中国人が得意なゲン担ぎで、『毒を以って毒を制する』(以毒制毒)というデトックス的な効果も期待して、サソリは中国の他の地域でも人気があり、一般的に食べられています。
私のお勧めは蛾とカブトムシです。蛾のぱりぱりした食感は中々のものですし、カブトムシの幼虫はホクホクしてして、且つしっかりした甘味もあって美味です。
普通の日本人の方はドン引きしますが、現地では肉よりも高価で、貴重な食材として大事なお客様の接待に供されています。
イナゴを食べた経験のある年配者などは、食感が似ているサソリの唐揚げから入るのが無難かも。
カブトムシの幼虫
蛾(ガ)
サソリ

【余談 その5】
更に余談は続きますが、上海から海岸沿いに少し南下した地域にある浙江省の少し珍しいものを紹介します。
海に面した三門という町にフグの名店があり、噂を聞きつけて冬場には上海や杭州などからもお客様が沢山来ます。ここのフグ料理は煮込みだけで、味噌味でこってりと煮込んであります。深いコクのある味はきっとはまりますよ。お店は大衆店の様な内装で、決して高級ではないのですが、とにかく一度試してみる価値はある店です。聞くところによると中国では毎年、素人が調理したフグの料理を食べて100人以上が命を落としているといわれますが、ここの店は中国でも数少ない伝統的なフグ料理店ですので、安全で、お勧めの店です。

【余談 その6】
フグの店の町から更に南下した、温州みかんの原産地である台州という町には、白いビワがあります。系統は田中種という千葉周辺で栽培されている丸みのある品種に属すると思われますが、田中種や茂木種(長崎)よりも酸味があり、甘味とのバランスが良く、美味ですが、収穫量が少なく、産地でのみ消費されています。日本でも長崎にはあり、少量を自分の庭先で植えているそうです。珍しいものをお探しの方は是非5、6月に訪問して見ては?

【余談 その7】
更にこの辺の海は遠浅の泥地の海で、ムツゴロウが沢山取れます。日本では既に幻となっていて高級料亭でしか食べられないものとなっていますが、当地にはまだ沢山いて、是非食べてみてください。

中国でも大都市では高級魚は高価ですが、これ位のレベルの地方都市ではまだまだ価格はとても安いですし、特に海に面した地域では魚も新鮮ですので、ムツゴロウ以外にも、ハタやクエ、アユ、アワビやサザエ、ホタテやイセエビなどの高級魚を全部活魚としてイケスで選んで、安く食べることができますので、シーフード好きの方にはお勧めです。

尚、中国の海鮮料理店は、イケスで魚を選び、その場で調理法も指定します。食材は計り売りになっていて、大きい魚は500グラム(一斤)単位で測り、小エビなどの小さくて高い食材は50グラム単位で測ってくれるので、お好きな量、お好きな調理法を指定して食べてくださいね。
ムツゴロウ

【余談 その8】
上海から浙江省の省都・杭州に向かう車窓には6月頃、水を張った田んぼで栽培しているレンコンを、胸まで浸かって収穫している光景が見られます。レンコンと同時に、この周辺地域ではジュンサイの栽培も盛んで、この時期に杭州のレストランではジュンサイ料理を食べることが出ます。やはりスープで食べるのが一番お勧めで、ツルッと入ります。日本では高くなり過ぎて生鮮品を食べられるのは高級料亭だけとなっていますが、当地ではまだ生のものを調理した料理を安く食べられるので、この季節に杭州旅行される方は是非食べてみてくださいね。

【余談 その9】
南の福建省の第二の都市、アモイのレストランで見かけた女性店員。
このレストランは1000人以上収容できる巨大なお店で、チェーン展開している。

お店の売りは、大きい店内で、遠くにいるお客様のテーブルにいかに早く、熱い料理を提供するかに腐心し、その結論は、店員にローラースケートを履かせることだった。この奇抜なアイデアが受けて大繁盛し、チェーン展開する程になっている。

店員が料理をトレイに乗せて、すごいスピードで届けに来る。スープ類など普通に考えればこぼれそうだが、絶対にこぼさない。

聞くと、彼女たちは入社するとすぐスケートの特訓を重ね、技量によって役割が決まっていて、オーダー取り、食べ終わった皿の回収から始まり、お客様に料理を運ぶスタッフも、汁物を運ぶスタッフは最上レベルのスタッフが担当する。


軽やかな足取りで料理を運んでくる様は圧巻。一見の価値あり。

中国福建省厦門(アモイ)の"牡丹"にて

【余談 その10】
更に南に下がり、広東省や広西チワン族自治区の海沿いの町で、夏にレストランに入るとウナギの稚魚(体長10cm位のシラスウナギ)を唐揚げにして軽く塩を振ったものがビールのつまみに出てきて、とてもしっかりとコクのある味で歯応えも良く、まさに珍味である。近年はシラスウナギの漁獲高が減っているので、この料理はもうやっていないか、あっても高いと思われるけど、是非お勧めです。


【余談 その11】
香港経由で、広東省から始まった食材で、以降他の地域にも広まった珍味としてワニ肉がある。
中国ではワニを"鰐魚"といい、魚の仲間にされているようで、そのためイケス料理店で珍味の食材として扱われているが、危険なためか活魚ではなく、切り身にして陳列してある。
残念ながら、私もまだ食べたことがなく、味のコメントはできない。

私の印象では、中国では南の方が、動物系のゲテモノとも言えるような、いわゆる普通ではない食材が多いように感じる。中国のレストランに入ると、一般的な店の造りは、入口脇にお客が食材を選ぶスペースがあり、シーフード、肉類、野菜類などという風にカテゴリー別けしてあり、ケージや水槽が並んでいるが、広東省広州のレストランに入ると、このスペースが一見ペットショップか動物園と錯覚する位、動物系の食材が多い。
広東省広州のレストランで見かけたワニ肉
サル、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギからヘビ、キジやハト、アヒル、ガチョウ、カエル、スッポン、ハクビシン(SARS以降見かけなくなった)、魚貝ではハタやクエ、アユ、アワビやサザエ、ホタテやイセエビなどの食材に混じって、サメやチョウザメ、カブトガニ、エイ、ゲンゴロウ、ゴカイの仲間など、実に様々なものが食材として全部生きた状態でお客が選ぶのを待っている。もち論、一般的な食材は当然豊富な種類があり、それ以外に差別化のためのプラスアルファとして各店それぞれ個性のある珍味の食材を用意しているのである。
野菜類も日本よりもはるかに種類が多いと感じる。地域性もあるが一般的な食材以外に、ヘチマ、マコモ竹、菱の実、松の実、ザーサイにする野菜の新鮮なもの(スライスして炒めた料理は美味しい)、コリアンダー(香菜/いわゆるパクチー)やピンチ菜など。生のパパイアやパインを使った料理は演出効果も抜群で、味もおいしい。
中国福建省厦門(アモイ)の鼓浪嶼で見かけたカブトガニ
同地で見かけたエイ


【余談 その12】
以前、福建省の北部、武夷山周辺に行くと、乾燥して煎餅状になったネズミを売っていたり、またセンザンコウというアルマジロの仲間を闇で売っていたりする。センザンコウやイヌ肉の料理は何度か口にしたが、いずれも牛肉に似た赤い肉で、くせがなく、食べやすい印象だった。ちなみに当時からセンザンコウは国際保護動物で、ワシントン条約で捕獲や売買が禁止されているにも関わらず、相当高価で取引されている闇の珍味だという。
アルマジロ
アルマジロ(センザンコウ)・自己防御のため、丸くなる(右側が筆者)




TOPに戻る

TV、新聞で話題の健康茶 チャーガのお茶、チャガ茶
Copyright (c) YAMAX co.Ltd
All right reserved. 
SEO対策 CRANEI
SEO対策 KEN SEO 勉強会
SEO対策 KenNavi